レグザの4K有機ELのフラッグシップに、X990Sが加わりました。前のモデルにあたるX9900Rは、公式サイトで「在庫限り」の表示になっています。値下がりしたX9900Rを選ぶか、新しいX990Sを待つか、迷っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、TVS REGZAのニュースリリースと、両機の公式の仕様表を中心に、何が変わって何が変わらないのかを整理します。画質、端子、ゲーム、音、電気代、価格の順に見ていき、最後に「どちらを選ぶべきか」をまとめます。筆者による実機の視聴や測定はしていません。

新しいほうが明るいのは分かるけど、何十万円も違うなら古いほうでいい気もするんだよね。

明るさのほかに、HDMIの端子やゲームの入力、音の設定も変わっているよ。自分に関係する変化かどうかで決めよう。
X990SとX9900Rの違いを一覧で比較
まず、65型どうしの主な違いを、公式の仕様表から並べます。型番は、新しいX990Sが65X990Sと55X990S、X9900Rが65X9900Rと55X9900Rです。
| 項目 | X990S(65型) | X9900R(65型) |
|---|---|---|
| パネル | 新世代RGBタンデム有機ELパネル | 新開発 高輝度広色域 RGB4スタック有機ELパネル |
| 低反射 | 新アドバンスド低反射ARコート | アドバンスド低反射ARコート |
| 映像エンジン | レグザエンジンZRα | レグザエンジンZRα |
| HDR信号 | Dolby Vision IQ、HDR10、HLG、HDR10+(フォーマット対応) | HDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQ、HDR10、HLG |
| 4K/144p入力 | 4系統すべて(AV Watchの説明) | HDMI入力端子1、2のみ |
| ゲームの入力 | 1080p 144Hz、2560×1440 120Hz | 1080p 120Hz、2560×1440 60Hz(1080p 144Hz入力にも対応) |
| スピーカー | 18個・180W(55型は14個・170W) | 重低音立体音響システムXIS |
| 消費電力 | 480W | 491W |
| 年間消費電力量 | 196kWh/年 | 192kWh/年 |
| 質量(スタンド含む/本体) | 31.0kg/28.0kg | 30.5kg/27.5kg |
| 外形寸法(スタンド付) | 幅144.2×高さ89.2×奥行30.0cm | 幅144.2×高さ89.2×奥行30.0cm |
| リモコン | CT-90510 | CT-90506 |
4K/3840×2160の解像度、映像エンジンのレグザエンジンZRα、タイムシフトマシン(地デジ最大6ch、別売のUSBハードディスクが必要)、120Hz倍速とゲームモードの144Hz VRR、Dolby Atmosの5.1.2chは、両機に共通です。外形寸法も65型で同じなので、今のX9900Rの置き場所に、そのままX990Sを置ける大きさです。
画質の違い|明るさ約1.3倍と映り込み約50%低減
いちばん大きな変化はパネルと放熱です。ニュースリリースは、2枚のアルミで構成された独自開発のダブルアルミ高放熱システムの採用により、「従来比約1.3倍の高輝度を実現しました」と説明しています。あわせて、新アドバンスド低反射ARコートで「外光の映り込みを約50%低減」したとしています。
ここでの「従来」は、リリースの注記で「X9900R(2025年モデル)と2026年モデルX990Sとの比較」と書かれています。つまり、メーカーがX9900Rと比べて示した数字です。ただし、どの画面サイズで、どんな映像を表示して比べたかの条件は、リリースには書かれていません。
明るい部屋で見る時間が長い人には、輝度と映り込みの両方が効いてきます。昼間のリビングで、窓や照明が画面に映り込むのが気になっている人には、わかりやすい改善です。逆に、夜に照明を落として映画を見ることが多い人は、差を感じる場面が限られるかもしれません。
パネルの名前も、X9900Rの「RGB4スタック」から、X990Sでは「RGBタンデム」に変わりました。AV Watchは、X990SのパネルをLGディスプレイ開発の最新世代有機ELパネルと紹介しています。画質の違いは、発売後に実機のレビューが出てから比べてみましょう。
X9900Rの実機レビューから分かること
X9900Rには、すでに実機のレビューがあります。AV Watchの西川善司氏は55X9900Rを測定し、色域について「緑と赤の方向に対して色域が結構広がっている」と書いています。画質モード「映画プロ」では最大輝度が1,200nitを少し超えたあたりで飽和させている、という測定結果も紹介しています。
この測定は、AV Watchが55X9900Rで行ったものです。X990Sの「約1.3倍」はメーカーが自社の条件で比べた数字なので、この2つを組み合わせてX990Sの明るさを計算することはできません。X990Sの実際の明るさは、発売後の測定を見てから判断しましょう。
HDRの対応と画質処理の名前
HDRの対応にも違いがあります。X9900Rの仕様表にあった「HDR10+ ADAPTIVE」は、X990Sの仕様表では「HDR10+(フォーマット対応)」という書き方になりました。Dolby Vision IQ、HDR10、HLGは両機にあります。HDR10+ ADAPTIVEの映像を重視している人は、購入前にメーカーの窓口で確かめておくと安心です。
画質処理の名前からは「PRO」が外れています。X9900Rの「3次元カラーリマスターPRO」「AI HDRオプティマイザーPRO」「HDR復元PRO」「HDRリアライザーPRO」は、X990Sでは「3次元カラーリマスター」「HDRオプティマイザー」「HDR復元」「HDRリアライザー」と書かれています。ここでは、仕様表に書かれた名前の違いとして紹介します。
X990Sの新機能として、AIがシーンを識別して夜空の星や夜の街明かりを再現する「有機EL光景再現AIシーン高画質」や、専門的な知識がなくても画調を調整できる、おまかせAIピクチャーPROの「かんたん調整」も紹介されています。
HDMIとゲームの違い|4K/144Hzが全端子に
ゲーム機やパソコンをつなぐ人にとって大きいのが、HDMIの変化です。X9900Rの仕様表では、4K144pなどの機能について「入力端子1、2のみ対応しています。」と注記されています。
一方、AV WatchはX990Sについて、HDMI入力は4系統で「すべてHDMI 2.1に対応し、どの端子に接続しても4K/144Hz信号を入力・表示できる」と説明しています。4K/144Hzで使いたい機器を3台以上つなぐ人には、どの端子に何をつなぐかを気にしなくてよくなる変化です。
ゲーム向けの入力も広がりました。X990Sは1080pで144Hz、2560×1440で120Hzの入力に対応します。X9900Rは2560×1440が60Hzまでです。ゲームモードには、新しく「AIオート」が加わりました。パソコンをWQHDでつなぐ人には、120Hzで表示できるかどうかが大きな違いになります。
AV Watchは、HDMI ARCのPCM出力が192kHzに対応したことも紹介しています。従来のレグザではARCのPCM出力が48kHz/16bitに制限されていたため、ARCでつないだオーディオ機器に、高いサンプリングレートの音声をそのまま送りたい人にはうれしい変更です。


ゲーム機2台とパソコンをつなぎたいから、端子を選ばなくていいのは助かるかも。
音の違い|スピーカーの数と新しい調整機能
音は、両機とも重低音立体音響XISです。ニュースリリースは、X990Sについて「18個のスピーカーを180Wのマルチアンプで独立駆動します」と説明しています。55型は注記で「55X990Sは14個のスピーカーを170Wマルチアンプで独立駆動」とされていて、65型より数が少なくなります。
X990Sでは、仕様表にマルチバンドイコライザー、ラウドネス補正(レベル調整あり)、シンクロドライブが新しく載りました。シンクロドライブは、レグザのサウンドシステムと組み合わせて使う機能です。リリースは、新しいタイムアラインメントのアルゴリズムで、サウンドの明瞭度が上がったとも説明しています。
X9900Rの購入者の声を見ると、音の評価は分かれています。価格.comで55X9900Rを買った人は、「14個もスピーカーがあるので期待したが、補正しても中低音が物足りず」と書き、外部スピーカーをつないでいます。一方、65X9900Rの購入者は、XISによる5.1.2chの立体音響を高く評価しています。
本体の音で足りるかどうかは、部屋の広さや好みで変わります。サウンドバーを足すか迷っている人は、REGZAにサウンドバーはいらない?も参考にしてください。シンクロドライブに対応するサウンドバーを検討するなら、RA-B500のレビューやRA-B500とRA-B100の比較もあわせて読んでみてください。
電気代と重さ|わずかに変わった数字
消費電力は、65型でX990Sが480W、X9900Rが491Wです。一方、年間消費電力量はX990Sが196kWh/年、X9900Rが192kWh/年で、こちらはX990Sのほうが少し多くなっています。省エネ基準達成率は、X990Sが116%、X9900Rが119%です。
55型では、消費電力が55X990Sの411Wに対して55X9900Rが390W、年間消費電力量は55X990Sが174kWh/年、55X9900Rが173kWh/年です。どちらのサイズも、年間で数kWhの差なので、電気代で選ぶほどの違いではありません。
質量は、65型でスタンドを含めてX990Sが31.0kg、X9900Rが30.5kgです。0.5kgの差なので、壁寄せスタンドや台の耐荷重に余裕があれば、置き換えで困ることは少ないでしょう。
価格の見方|同じ種類の値段どうしで比べる
どちらもメーカー希望小売価格のないオープン価格です。市場想定価格は、AV WatchによるとX990Sが65型で68.2万円前後、55型で55万円前後です。X9900Rの発売時の市場想定価格は、価格.comニュースによると65型が638,000円、55型が484,000円でした。
発売時の市場想定価格どうしで比べると、65型は682,000円と638,000円で44,000円、55型は550,000円と484,000円で66,000円、X990Sのほうが高く設定されています。
今のX9900Rは在庫限りで、実際の販売価格は大きく下がっています。価格.comでは65X9900Rに317,756円、55X9900Rに316,800円の最安表示がありました。ただし、これは実売の値段で、X990Sの市場想定価格とは種類が違うため、この記事ではX990Sとの差額は出しません。比べるときは、同じ売り場で、配送や設置、長期保証の条件をそろえて、支払総額を見てください。
X990Sには、発売記念のキャッシュバックもあります。PHILE WEBによると、65X990Sが30,000円分、55X990Sが20,000円分の還元対象で、購入対象期間は2027年1月12日まで、応募期限は2027年2月24日までです。レグザのサウンドシステムとセットで買うと、還元額が上乗せされます。
今ある機種へのアップデートについて
PHILE WEBによると、X990Sから搭載する新機能の一部について、TVS REGZAは「2026年春モデルなど既存機種へのアップデート展開も検討、あるいは予定している」とのことです。具体的な対象機種や提供時期は、今後の案内を待つ段階です。
アップデートは、あくまで検討や予定の段階として紹介されています。いま持っているテレビの機能が増えることを前提にせず、今の仕様で必要な機能がそろっているかで判断しましょう。
X9900Rで十分な人、X990Sを選びたい人
X9900Rで十分なのは、次のような人です。
- 夜や暗めの部屋で見ることが多い
- HDMIで4K/144Hzを使う機器が1〜2台まで
- パソコンをWQHDの120Hzでつなぐ予定がない
- 値下がりした今の価格で、有機ELの大画面を手に入れたい
X990Sを選びたいのは、次のような人です。
- 明るいリビングで見る時間が長く、映り込みが気になる
- ゲーム機やパソコンを3台以上、4K/144Hzでつなぎたい
- ARCでつないだオーディオ機器に高音質の音声を送りたい
- 最新の機能と、発売記念のキャッシュバックを活かしたい

同じレグザの新旧比較として、レグザ870Nと875Rの比較も、在庫限りの旧型を選ぶかどうかの考え方の参考になります。
購入できる売り場
Amazonでは、65X990S、55X990S、65X9900Rの商品ページがあります。X990Sは発売前の予約の段階で、在庫の表示は時期によって変わります。
楽天市場では、型番での検索結果から65X990Sと55X990Sを探せます。
在庫限りの65X9900Rも、楽天市場の型番検索から探せます。55X9900Rは、Amazonで商品ページが見つからず、楽天の検索結果も上位が中古の展示品だったため、この記事では購入リンクを付けていません。
かでくらで取り上げたテレビ64製品を、パネル方式・解像度・スピーカー出力・動画配信と、同じサイズ帯の中での価格で100点満点採点したランキングもあわせて参考にしてください。

サウンドバー選びで迷ったら、36製品を公式スペックとコスパで100点満点採点したランキングも参考にしてください。

まとめ:X990Sは「明るさ」と「端子」に価値を感じる人向け
- X990SはX9900R比で輝度約1.3倍、外光の映り込み約50%低減(メーカーの比較)
- HDMIは4系統すべてで4K/144Hz入力、WQHDは120Hz入力に対応
- ARCのPCM出力が192kHzに、音の調整機能も増えた
- 外形寸法は65型で同じ。消費電力や重さの差はわずか
- X9900Rは在庫限りで値下がり中。差額は値段の種類をそろえて判断
明るい部屋での見やすさと、HDMIの使い勝手に価値を感じるなら、X990Sを選ぶ理由は十分にあります。暗い部屋で映画を見ることが中心で、つなぐ機器も少ないなら、値下がりしたX9900Rは今でも有力な選択肢です。自分の部屋と、つなぐ機器を思い浮かべて選んでみてください。




