マキタの40Vmaxシリーズに、2026年10月、充電式チェンソーのMUC034Gが発売されました。同じエンジン換算42mLクラスのリヤハンドル機には、MUC019Gもあります。どちらも40Vmaxのバッテリで動く、プロ向けのチェンソーです。
この記事では、マキタの2つの製品ページをもとに、MUC034Gの特徴、MUC019Gとの違い、どちらを買うべきかを整理します。公式の仕様表は、質量や寸法を測ったときのバッテリが機種ごとに違うため、数字の条件もあわせて書いていきます。筆者による実機での切り比べはしていません。

新しいほうが軽くてパワーもあるなら、迷わず新しいほうでいいんじゃない?

軽さを重視した作りなのは確かだけど、チェーンスピードや振動の数字は古いモデルのほうが有利なんだ。何を優先するかで選ぼう。
結論:軽さと操作性ならMUC034G、価格と低振動ならMUC019G
先に結論を書きます。持ち運ぶ時間が長い人や、枝払いや小径木の切断をくり返す人は、MUC034Gを選ぶとよいでしょう。ハンドルなどに樹脂を使って軽くした作りで、トリガを引き直さずに再起動できるなど、操作の手間を減らす工夫が入っています。
一方で、標準小売価格を抑えたい人や、振動の小さいモデルがほしい人は、MUC019Gが向いています。同じバー長で比べると、MUC019Gの標準小売価格(税別)は21,200円安く、振動3軸合成値も小さい数字です。300mmのガイドバーを選べるのも、MUC019Gだけです。
MUC034GとMUC019Gの主な仕様
まず、2台の仕様を公式の製品ページから並べます。どちらも直流36V(40Vmax)で動き、ハイパワーブラシレスモータを積んだリヤハンドルのチェンソーです。エンジン換算クラスは、どちらも42mLです。
| 項目 | MUC034G | MUC019G |
|---|---|---|
| エンジン換算クラス | 42mL | 42mL |
| ハンドル | リヤハンドル | リヤハンドル |
| 電源 | 直流36V(40Vmax) | 直流36V(40Vmax) |
| ガイドバー長さ | 350/400/450mm | 300/350/400/450mm |
| チェーン形式 | 80TXL | 80TXL |
| チェーンスピード | 0〜24.0m/s | 0〜25.5m/s |
| 振動3軸合成値 | 4.1m/s² | 3.1m/s² |
| 質量 | 5.2/5.3/5.4kg(チェーン刃、ガイドバー、BL4040F含む) | 6.2/6.3/6.4/6.5kg(チェーン刃、ガイドバー、BL4050F含む) |
| 幅×高さ | 230×261mm(BL4040F含む) | 230×275mm(BL4050F含む) |
| 防じん・防水 | ウェットガード IPX4M(バッテリIP56) | ウェットガード IPX4(バッテリIP56) |
| 本体の色 | 赤 | 青 |
| 標準付属品 | チェーンオイル、レンチ13、丸型ヤスリ4 | チェーンオイル、チェーンカバー、レンチ13-16、丸型ヤスリ4 |
チェーンスピードと振動は、どちらも同じ条件で比べられる数字です。振動3軸合成値は、どちらもEN62841-4-1規格にもとづいて測った値です。一方で、質量と寸法は測ったときのバッテリがBL4040FとBL4050Fで違います。このため、この記事では質量の差を「何kg軽い」とは書かず、それぞれの条件をそのまま並べています。

MUC034Gの特徴
ここからは、MUC034Gの特徴を見ていきます。製品ページのキャッチコピーは「切断を自在にこなす、パワーと軽さの両立」です。パワーと軽さのどちらを重視するかで、組み合わせるバッテリを選ぶ作りになっています。
バッテリで「パワー」と「軽さ」を選べる
MUC034Gは、組み合わせるバッテリによって性格が変わります。8.0Ahの高出力バッテリBL4080Hを付けると、エンジン式42mL以上の切断能力になると製品ページで説明しています。仕様表の推奨バッテリの欄でも、BL4080Hだけが「42mLクラス以上」で、BL4040F、BL4050F、BL4080Fは「42mLクラス」です。
4.0AhのBL4040Fを付けると、ガイドバー400mmで5.3kgになります。マキタは、42mLクラスの充電式リヤハンドルチェンソーで「クラス最軽量」としています(2026年10月現在の当社調べ、ガイドバー350mmでは5.2kg)。BL4040Fを使ったときのパワーは、エンジン式42mLクラスです。
つまり、太い木を切る日はBL4080H、持ち歩く時間が長い日はBL4040Fというように、作業に合わせてバッテリを使い分けられます。バッテリと充電器は別売りなので、手持ちの40Vmaxバッテリをどう組み合わせるかも考えておきましょう。
樹脂素材で軽くした本体
MUC034Gは、ハンドルとガイドバーマウント部の素材に樹脂を使って軽くしています。MUC019Gは、高剛性の金属ハウジングと金属製のハンドルを使った「堅牢ボディ」が特長なので、2台は素材の考え方がはっきり違います。
木の上や斜面で長い時間チェンソーを持つ人にとって、本体の軽さは疲れやすさに直結します。軽さを優先した作りがMUC034Gの大きな特徴です。
エンジン式に近い使用感と加速
切っているときの感覚にも工夫があります。製品ページでは、エンジン式同等の粘り強い使用感として、「過度な押し付け力による回転数低下を感覚的に把握しやすく、刃物を押し付ける力が調整しやすい。」と説明しています。
加速については、「トリガオンから素早く全速回転。オン/オフを繰り返す、小径木の連続切断も軽快にこなせます。」としています。チェーンスピードは24m/秒で、ハイパワーブラシレスモータとギヤ減速機構の組み合わせにより、ハイスピードとハイトルクを両立したと説明しています。
ロックしても引き直さずに再起動できる
太い木を切っていると、負荷がかかってチェーンが止まることがあります。MUC034Gは、「過負荷によりロックしても、負荷を取り除けば、トリガを引き直さずに再起動。」できます。トリガを引いたまま作業を再開できるので、手を持ち替える手間が減ります。ただし製品ページには、ロックの状態によっては再起動できないこともあるという注意書きがあります。
ロック荷重は約2倍になったとしています。この比較の相手は「当社従来機」で、ロック荷重とは、材料に刃を押し付けたときに刃がロックするときの荷重のことです。粘り強く切り進められる、という意味の数字です。
新型スイッチと大型統合ディスプレイ
操作部には、新しいスイッチと大きなディスプレイが付きました。製品ページでは、「グローブを装着したままでも押しやすいスイッチ仕様。」としています。ディスプレイは高輝度LEDを使っていて、見やすく、製品の状態がひと目でわかると説明しています。MUC019Gの製品ページでは、操作について「ワンタッチで電源ON」と紹介しています。
防水はウェットガード IPX4M
防水は、防滴・防じんの「ウェットガード」と防水保護等級IPX4Mです。雨の中でも運転できる仕様ですが、故障しないことを保証するものではない、という注意書きがあります。MUC019Gも同じウェットガードで、防水保護等級の表記はIPX4です。
MUC034GとMUC019Gの違い
ここからは、2台の違いを項目ごとに整理します。同じ42mLクラスでも、得意なことが少しずつ違います。
違い1:質量は測定条件が違う
MUC034Gの質量は、ガイドバー350mmで5.2kg、400mmで5.3kg、450mmで5.4kgです。これはチェーン刃、ガイドバー、バッテリBL4040F(4.0Ah)を含んだ数字です。
MUC019Gの質量は、ガイドバー300mmで6.2kg、350mmで6.3kg、400mmで6.4kg、450mmで6.5kgです。こちらはチェーン刃、ガイドバー、バッテリBL4050F(5.0Ah)を含んだ数字です。
測ったときのバッテリが違うので、仕様表の数字の差が、そのまま本体の差というわけではありません。ただ、MUC034Gは樹脂素材で軽くした設計で、マキタが42mLクラスの充電式リヤハンドルチェンソーで「クラス最軽量」としている点は確かです。
違い2:チェーンスピードはMUC019Gが速い
チェーンスピードは、MUC034Gが0〜24.0m/s、MUC019Gが0〜25.5m/sです。分速にすると、MUC034Gが0〜1,440m/分、MUC019Gが0〜1,530m/分で、数字の上ではMUC019Gのほうが速くなっています。
MUC019Gの製品ページでは、高速チェーンスピード25.5m/秒で、伐倒、枝払い、玉切りなど幅広い切断作業をこなすと説明しています。一方のMUC034Gは、ギヤ減速機構によるハイトルクと、エンジン式に近い粘り強さを強調しています。
違い3:振動はMUC034Gのほうが大きい
振動3軸合成値は、MUC034Gが4.1m/s²、MUC019Gが3.1m/s²です。どちらもEN62841-4-1規格にもとづいて測った値で、MUC034Gのほうが大きい数字です。
振動の数字は、長い時間使ったときの手や腕への負担に関わります。1日に何時間もチェンソーを使う人は、軽さだけでなく、この振動の数字もあわせて考えておきましょう。
違い4:ガイドバーの長さと色
ガイドバーは、MUC034Gが350mm、400mm、450mmの3種類、MUC019Gが300mm、350mm、400mm、450mmの4種類です。300mmの短いバーを選べるのはMUC019Gだけです。チェーン形式は、どちらもゲージ厚1.1mmの薄刃80TXLで、先端にスプロケットノーズバーを使っています。
本体の色は、MUC034Gが赤、MUC019Gが青です。現場で見分けやすい違いでもあります。
違い5:防水の表記と付属品
防水保護等級は、MUC034GがIPX4M、MUC019GがIPX4です。どちらもウェットガードで、バッテリはIP56です。
標準付属品は、MUC034Gがチェーンオイル、レンチ13、丸型ヤスリ4です。MUC019Gはチェーンオイル、チェーンカバー、レンチ13-16、丸型ヤスリ4です。公式の付属品の一覧では、チェーンカバーはMUC019Gの欄にだけ並んでいます。購入するときは、販売店で付属品をよく確かめてください。
違い6:標準小売価格
標準小売価格(税別)は、MUC034Gが350mmで99,500円、400mmで101,900円、450mmで104,300円です。MUC019Gは300mmで75,900円、350mmで78,300円、400mmで80,700円、450mmで83,100円です。
同じバー長どうしで比べると、標準小売価格(税別)はどの長さでもMUC019Gが21,200円安くなっています。どちらもバッテリと充電器は別売りです。

MUC034Gは軽いけど、振動とチェーンスピードはMUC019Gのほうが有利なんだね。

そうなんだ。次は、どんな人がどちらを選ぶとよいかを整理するよ。
MUC019Gの特徴もおさらい
MUC019Gの製品ページは、本体の丈夫さとバランスを強調しています。「高剛性金属ハウジングと金属製ハンドルを採用。重負荷作業にも対応。」という説明のほか、「重心を本機センターにレイアウト。」とあり、取り回しのよい重心バランスをうたっています。
面取りした滑らかなボディ形状で、枝払いのときに引っ掛かりが少ないことも特長です。フロントハンドルとリヤハンドルのレイアウトにより、自然な姿勢で保持して正確に切断できると説明しています。ダブルナット、脱落防止ナット、金属製スパイクバンパ、金属製チェーンキャッチャ、収納式の大口径オイルタンクキャップといった装備は、MUC034Gの製品ページにも同じような名前で並んでいます。
MUC019Gの仕様表には、対応ポータブル電源としてPDC01が◎で載っています。背負うタイプの電源を使っている人は、この点も確かめておくとよいでしょう。
MUC034Gを買うべき人
- 山林や斜面で、チェンソーを持って移動する時間が長い人
- 枝払いや小径木の切断で、オンとオフを何度もくり返す人
- ロックしたときに、トリガを引き直す手間を減らしたい人
- グローブをしたまま操作しやすいスイッチや、見やすい表示がほしい人
- BL4080Hと組み合わせて、42mLクラス以上のパワーを使いたい人
MUC034Gは、軽さと操作のしやすさを重視したモデルです。バッテリを付け替えて、軽さ重視とパワー重視を使い分けられるのも魅力です。標準小売価格は高くなりますが、毎日のように持ち歩いて使う人ほど、軽く作られた本体の良さを感じやすいでしょう。
MUC019Gを買うべき人
- 標準小売価格を抑えたい人
- 振動3軸合成値の小さいモデルがほしい人
- 300mmの短いガイドバーを選びたい人
- 金属ハウジングと金属製ハンドルの丈夫な本体を重視する人
- ポータブル電源PDC01と組み合わせて使いたい人
MUC019Gは、同じ42mLクラスで、チェーンスピードが速く、振動の数字が小さいモデルです。同じバー長なら標準小売価格(税別)は21,200円安く、300mmのバーも選べます。軽さよりも丈夫さや価格を重視する人には、MUC019Gが合っています。

40Vmaxのバッテリをほかの工具と共用する
どちらのチェンソーも、40Vmaxのバッテリで動きます。マキタの製品ページでは、40Vmaxバッテリはヘッジトリマ、草刈機、ブロワ、インパクトレンチ、ハンマドリル、マルノコ、クリーナ、ライトなどに共通して使えると説明しています。すでに40Vmaxの工具を持っている人は、手持ちのバッテリを活かせます。
40Vmaxのインパクトドライバの新旧比較は、TD005GとTD002Gの違いを比較にまとめています。マキタの園芸工具を比べたい人は、MUG001GとMUX01GNの違いを比較も参考にしてください。
よくある質問
MUC034GはMUC019Gよりパワーがありますか?
どちらもエンジン換算クラスは42mLです。MUC034GはBL4080Hを使ったときに「42mLクラス以上」とされていて、BL4040FやBL4050Fなどでは42mLクラスです。チェーンスピードは、MUC019Gの25.5m/sに対してMUC034Gは24.0m/sです。
バッテリと充電器は付いていますか?
どちらも、標準小売価格のモデルはバッテリ別売、充電器別売です。初めて40Vmaxの工具を買う人は、バッテリと充電器の費用も見込んでおきましょう。
竹も切れますか?
MUC034Gの製品ページでは、薄刃80TXL仕様の説明の中で竹の切断にも対応するとしています。ゲージ厚1.1mmの薄刃で切断抵抗を大きく減らし、鋭い食いつきで速く切れると説明しています。
充電式インパクトドライバ選びで迷ったら、20製品を公式スペックとコスパで100点満点採点したランキングも参考にしてください。

まとめ:軽さのMUC034G、価格と低振動のMUC019G
MUC034GとMUC019Gは、どちらもマキタの40Vmax、エンジン換算42mLクラスのリヤハンドルチェンソーです。MUC034Gは、樹脂素材で軽くした本体、ロック後に引き直さずに再起動できるトリガ、グローブのまま押しやすい新型スイッチと大型統合ディスプレイが特徴です。
MUC019Gは、チェーンスピード25.5m/s、振動3軸合成値3.1m/s²と、数字の上では速く、振動の小さいモデルです。同じバー長なら標準小売価格(税別)は21,200円安く、300mmのバーも選べます。持ち歩く時間が長く、軽さと操作性を優先する人はMUC034Gを、価格と振動の小ささ、丈夫な本体を重視する人はMUC019Gを選びましょう。




