ソニーから、スマートフォンに直接取り付けて立体的な音を録れる空間オーディオマイク「ECM-AX10」が登場します。ソニーの発表によると、発売は2026年10月23日で、価格はオープン、市場推定価格は30,000円前後です。ソニーストアでの販売価格は29,700円(税込)です。
ECM-AX10は、球形のマイクモジュールに4つの全指向性マイクを収め、周囲360度の音を記録する「アンビソニックス録音」に対応したマイクです。ソニーは、空間オーディオの規格「Eclipsa Audio」の認証を受けた、マイクとして世界初の製品だと発表しています。
この記事では、ソニーのニュースリリースと商品ページ、ITmedia Mobileの記事をもとに、ECM-AX10で何ができるのか、3つの録音形式をどう使い分けるのか、買う前に知っておきたい点を整理します。

空間オーディオって、聴くものだと思ってた。自分で録れるの?

ECM-AX10をスマホに挿せば、旅行先の街の音やライブ会場の空気感を、まわりを包み込むような音で記録できるんだ。動画と一緒に残せるのがポイントだよ。
ECM-AX10の主な仕様
ソニーの商品ページに載っている主な仕様をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 2026年10月23日 |
| 価格 | オープン価格(市場推定価格30,000円前後、ソニーストア29,700円) |
| 形式 | バックエレクトレットコンデンサー型 |
| 指向特性 | Spatial(Ambisonics/Binaural)/Stereo |
| 録音形式 | Ambisonics B-format(AmbiX)4ch、Binaural 2ch、Stereo 2ch(いずれも48kHz、16/24bit整数、32bit浮動小数点) |
| 周波数特性 | 20Hz〜20kHz |
| 最大入力音圧レベル | 120dB SPL以上 |
| フィルター | ローカット(LC)/ノイズカット(NC) |
| アッテネーター | 0dB/10dB/20dB |
| 端子 | USB Type-C、ヘッドホン端子(ステレオミニジャック) |
| 位置センサー | 6軸(3軸ジャイロ、3軸加速度) |
| 電源 | USBバスパワー(5V、100mA) |
| サイズ・重さ | 約35.1×116.1×21.2mm、約24g |
| 付属品 | ウインドスクリーン、シューマウント・マイクホルダー、USB Type-Cケーブル、スペーサーシート |
約24gと軽く、スマホのUSB-C端子に直接挿すだけで使えます。電源はスマホから取るので、マイク側の充電はいりません。
3つの録音形式の違い
ECM-AX10は、用途や見る環境に合わせて、アンビソニックス、バイノーラル、ステレオの3つの形式で録音できます。本体側面のスイッチで「SPATIAL」と「STEREO」を切り替え、SPATIALのときは専用アプリでアンビソニックスとバイノーラルを選びます。
| 形式 | チャンネル | 特徴 | 使える場所 |
|---|---|---|---|
| アンビソニックス | 4ch | 周囲360度の音響情報をそのまま記録。Eclipsa Audioに対応 | 専用アプリで録音。YouTubeで空間オーディオとして公開・再生 |
| バイノーラル | 2ch | ヘッドホン再生向けの立体音響。360 Reality Audioにも使われるソニーの技術で音像を再現 | 専用アプリ以外でも使える |
| ステレオ | 2ch | ヘッドホン、スピーカーの両方に対応する最も汎用的な形式 | 専用アプリ以外でも使える |
アンビソニックス:360度の音を丸ごと記録
球形のモジュールに配置した4つのマイクで、前後、左右、上下を含む周囲の音響情報を記録します。ソニーは、高次アンビソニックスマイクで使われる高度な信号処理技術を、4チャンネルの1次アンビソニックス収録に最適化したと説明しています。録った音は、再生する機器に合わせて最適な立体音響に変換できます。
Eclipsa Audioに対応しているので、収録した内容をYouTubeで空間オーディオとして公開、再生できます。見る人が画面の向きを変えたり、ヘッドホンで聴いたりしたときに、音の方向や距離感まで伝わるのがアンビソニックスの魅力です。
バイノーラル:ヘッドホンで聴く人に届ける
バイノーラル録音は、ヘッドホン再生に最適化した2chの形式です。360 Reality Audioにも使われるソニー独自の立体音響技術で音像を再現し、Eclipsa Audioに対応していない環境でも空間オーディオとして聴けます。ITmedia Mobileによると、SPATIALモードのままスマホ標準のカメラアプリなどで撮影した場合も、自動的に2chのバイノーラル録音になるとのことです。
ステレオ:どこでも使える定番
STEREOモードでは、4つのマイクユニットをすべて使った2chのステレオ録音になります。スピーカーで聴かれることが多い動画や、編集アプリの都合で特別な形式を使いたくない場合は、ステレオを選ぶのが無難です。

全部アンビソニックスで録っておけばいい、ってわけじゃないの?

アンビソニックスは専用アプリで扱う形式だから、普段のカメラアプリやほかの編集アプリで使うなら、バイノーラルかステレオのほうが手軽なんだ。公開する場所に合わせて選ぶのがコツだよ。
現場で役立つ操作部と機能
ローカットとノイズカット
風切り音や空調の音、振動などの低い周波数のノイズを減らす「ローカットフィルター」と、デジタル信号処理で周りの不要なノイズを取り除く「ノイズカットフィルター」を搭載しています。ただし、ノイズカットはSPATIAL(アンビソニックス)モードでは無効になります。
ATTスイッチとピークインジケーター
ライブ会場やイベント会場のような大きな音の場所では、本体のATT(アッテネーター)スイッチで入力レベルを0dB、10dB、20dBから選べます。録音レベルが適正なときは緑、音割れのおそれがあるときは赤に点灯するピークレベルメーターと、録音レベルを自動で調整するオートゲインコントロールも備えています。
セルフィーモードと向きの自動検知
アンビソニックスとバイノーラルは360度の音を記録するため、映像の向きと音の正面をそろえることが大切です。セルフィーモードスイッチを使えば、フロントカメラで自撮りするときも、映像と音の向きを合わせて録音できます。さらに内蔵の加速度センサーがマイクの傾きや向きを検知するので、縦位置でも横位置でも、映像と音の方向感を自然に一致させられます。
ヘッドホンでモニターできる
ステレオミニジャックにヘッドホンをつなげば、録音中の音をリアルタイムで聴けます。空間録音モードではバイノーラル形式、ステレオ録音モードでは通常のステレオで出力されるので、立体感がうまく録れているかをその場で聴きながら撮影できます。
専用アプリと付属品
Spatial Audio Video Toolで撮影から書き出しまで
専用アプリ「Spatial Audio Video Tool」を使うと、空間オーディオ付きの動画の撮影、確認、簡易編集、動画ファイルの書き出しまでを、スマホだけで完結できます。複数の動画をつなげたり、さまざまな音声フォーマットで書き出したりすることもできます。
ウインドスクリーンとマイクホルダー
風のある屋外での撮影に備えて、ファータイプのウインドスクリーンが付属します。さらに、コールドシューマウントのマイクホルダーとUSB延長ケーブルも付属するので、スマホケースを付けたままの場合や、ジンバルなどのアクセサリーと組み合わせる場合も、マイクの位置を調整しやすくなっています。
プロの音響エンジニアと音づくり
音質のチューニングには、映像や音声のポストプロダクションを手がけるソニーPCLの音響エンジニアが協力しました。担当したエンジニアは、オーケストラの収録について「低域や中低域のレスポンスが早く音楽を豊かに捉えられ」るとコメントしています。
ECM-AX10がおすすめな人
- 旅行やVlogで、その場の空気感まで動画に残したい人
- ライブや祭り、スポーツ観戦の臨場感を、まわりを包む音で記録したい人
- YouTubeで空間オーディオの動画を公開してみたい人
- 大きな機材を持たず、スマホ1台で立体音響を録りたい人
一方で、話し声をはっきり録ることが目的なら、口元に近づけて使うピンマイクのほうが向いています。会話の収録が中心の人は、かでくらのMic Mini 2SとMic Mini 2の比較も参考にしてください。スマホを使わず、録音機単体で環境音を録りたい人には、H4essentialとH4n Proの比較で紹介しているようなレコーダーも選択肢になります。
かでくらの見立てでは、ECM-AX10は「音で思い出を残したい人」のためのマイクです。声を大きく録る道具ではなく、その場所の広がりや距離感を記録する道具だと考えると、満足しやすくなります。
ECM-AX10のよくある質問
電源はどうする?
ソニーの仕様では、電源は「USBバスパワー対応」です。スマホのUSB-C端子から電気を取って動き、消費電流の目安は5V・100mA(空間録音モードでヘッドホンをつないでいないとき)とされています。そのぶんスマホのバッテリーは減るので、長時間の撮影ではモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。
アンビソニックスの音声は、パソコンの編集ソフトでも扱える?
ITmedia Mobileによると、ECM-AX10は4つのマイクで捉えた音を本体内のDSPでリアルタイムに「アンビソニックスBフォーマット(AmbiX)」へ変換します。この形式にすることで、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)や各種編集ソフトとの互換性が確保されると解説されています。本格的に編集したい人は、使っているソフトがAmbiXに対応しているかを調べておきましょう。
アプリは無料?
ITmedia Mobileによると、ソニーは発売に合わせて、iOSとAndroidに対応した専用アプリ「Spatial Audio Video Tool」を無料で公開するとしています。
上手に録るコツは?
かでくらからのアドバイスとしては、まず撮影中にマイクの球形部分へ指や服が触れないように持つことです。屋外では付属のウインドスクリーンを付け、風が強い日はローカットフィルターも併用しましょう。音の正面をそろえるため、自撮りのときはセルフィーモードスイッチを忘れずに切り替えます。録音を始める前にヘッドホンで少し聴いてみると、レベルの合わせ忘れや向きの間違いに気づきやすくなります。
買う前に知っておきたい注意点
スマホとアプリの対応を先に見る
専用アプリの機能を使うには、対応するスマホが必要です。購入前に、ソニーが公開している動作確認済み端末の一覧に、自分のスマホが入っているかを見ておきましょう。USB-C端子のないスマホでは、そのままでは使えません。
使える温度は0〜40℃
許容動作温度は0〜40℃です。真冬の屋外や真夏の炎天下での長時間の撮影では、スマホと合わせて温度に気を配りましょう。
包装はプラスチックフリー
ソニーによると、ECM-AX10の包装材にはプラスチックを使っていません(コーティング材と接着剤は除く)。環境への配慮を重視して製品を選びたい人にとっては、うれしいポイントです。
口コミはこれから
発売前のため、購入者の口コミはまだ集まっていない段階です。実際の録音のしやすさや、アプリの使い勝手についての評価は、発売後に口コミが増えてから見直すと参考になります。
ECM-AX10のまとめ|スマホ1台で、その場の空気感まで録れるマイク
ソニー ECM-AX10は、4つの全指向性マイクを収めた球形モジュールで、アンビソニックス、バイノーラル、ステレオの3つの形式を録り分けられる、約24gのスマホ用空間オーディオマイクです。Eclipsa Audioの認証を受けたマイクとして世界初の製品で、専用アプリを使えば撮影から書き出しまでスマホで完結します。ローカットやATT、セルフィーモード、ヘッドホンモニターなど現場で役立つ機能もそろっており、旅行やライブの臨場感を動画に残したい人に向いた1台です。

旅行の動画、映像だけじゃなくて音でも思い出せたら楽しいね。

そうだね。まずは対応スマホかどうかを確かめて、街の音や波の音を録ってみるのがおすすめだよ。




