ヘッドホンの音は気に入っている。なのに、アルバムの後半やミックス作業の終盤になると外したくなる。
原因は音ではなく、頭と首に積もった重さかもしれません。
SENDY AUDIOの新型Apollo PRO(SDA-APOLLO-PRO)は、平面磁界ドライバーを68mmから78mmへ大型化しながら、本体を約41g軽くしました。希望小売価格は旧型より11,000円高い66,000円です。
先に結論をお伝えします。
2時間以上続けて聴く人、DTMやミックスで集中を保ちたい人には、軽くなった新型がおすすめです。 端子やケーブルまで刷新され、旧型の小改良ではなく、装着感と音作りを組み直したモデルと考えたほうがよいでしょう。
1時間ほどの音楽鑑賞が中心で、中低域を豊かに楽しみたい人には旧型SDA-APOLLOがおすすめです。 旧型は実売価格が4万円台まで下がっており、平面磁界型らしい広がりを低予算で試せます。
ただし、78mmになったから音質が必ず上がる、27Ωだから必ず鳴らしにくい、と単純には決められません。本記事では41gの軽量化を軸に、音の傾向、駆動環境、音漏れ、ケーブルの互換性まで比べます。
※本記事には広告リンクが含まれています。価格や在庫は変わるため、購入前に販売ページでご確認ください。
11,000円差で買うのは大口径ドライバーより「聴き続けられる時間」
新型と旧型の希望小売価格差は11,000円です。実売価格は新型が約59,400~66,000円、旧型が4万円台で見つかるため、購入時の差はさらに広がる場合があります。
価格差を判断するとき、78mmと68mmだけを比べると答えを出しにくくなります。ドライバーの口径は音を決める要素のひとつにすぎず、大きければ自動的に高音質になるわけではないからです。
注目したいのは、ドライバーを10mm大きくしながら約41g軽くした設計です。
旧型は約395g、新型は約354g。軽量化率は約10%です。数字だけなら小さく見えても、頭の上では毎分、重さを支え続けます。2時間のアルバム鑑賞、映画1本、ミックスの追い込みでは、最後の30分まで姿勢を崩しにくい新型にお金をかけるメリットがあります。
反対に、30分から1時間で休憩するなら、41g差を感じる前に外すこともあります。短時間のリスニングが中心なら、差額をDACや音源へ回す選択も合理的です。
SDA-APOLLO-PROとSDA-APOLLOの違いを比較表で確認
新旧はどちらも、開放型の平面磁界型ヘッドホンです。無垢材のハウジング、着脱式ケーブル、4.4mmバランスプラグ、20Hz~40kHzの再生周波数帯域を共通して備えます。
| 比較項目 | Apollo PRO(新型) | Apollo(旧型) |
|---|---|---|
| 型番 | SDA-APOLLO-PRO | SDA-APOLLO |
| 形式 | 開放型・平面磁界型 | 開放型・平面磁界型 |
| ドライバー | 78mmナノスケール複合振動板 | 68mm超薄型複合膜振動板 |
| 振動板技術 | EB蒸着技術を採用 | QUAD-FORMERテクノロジー |
| 再生周波数帯域 | 20Hz~40kHz | 20Hz~40kHz |
| インピーダンス | 27Ω | 16Ω |
| 感度 | 93dB±3dB | 95dB±3dB |
| 重量 | 約354g | 約395g |
| 重量差 | 約41g軽い | ― |
| ハウジング | ゼブラウッド | ローズウッド |
| イヤーパッド | 通気性のあるベルベット | 人工皮革・形状記憶フォーム |
| ケーブル | 古河OFC・銀メッキ銅・金メッキ銅の3重複合材、2重シールド | 約2m・6N OCC 4芯リッツ線 |
| ヘッドホン側端子 | 3.5mm×2 | 2.5mm×2 |
| 機器側プラグ | 4.4mmバランス | 4.4mmバランス |
| 変換アダプター | 4.4mm→3.5mm、3.5mm→6.35mm | 4.4mm→3.5mm |
| 希望小売価格 | 66,000円 | 55,000円 |
比較表で見落としやすいのが、ヘッドホン側の端子変更です。新型は3.5mm×2、旧型は2.5mm×2なので、旧型用の交換ケーブルを新型へそのまま挿せません。
手持ちのリケーブルを使いたい人は、端子径だけでなく左右の配線と極性も確認してください。変換アダプターを重ねるより、新型に合うケーブルを用意するほうが接触不良を避けやすくなります。
78mm化で期待できるのは「大音量」ではなく、音の見通し
Apollo PROは、厚さ800nm未満の磁気回路層を含むナノスケール複合振動板と、アルミ回路を精密に形成するEB蒸着技術を採用しています。メーカーは応答性、解像感、周波数特性の安定を狙った設計と説明しています。
ドライバーは旧型より直径で10mm大きくなりました。円の面積として単純計算すると、78mmは68mmより約32%広くなります。ただし、有効振動面積や磁気回路の形は公表値だけでは分からないため、「音を動かす面積が32%増えた」とまでは断定できません。
DTMでは音場の広さより、音の場所を追えるかを見る
大口径の平面磁界型に期待したいのは、音を派手に広げることだけではありません。
ミックスでは、ボーカルの中央位置、ギターの左右、リバーブの奥行き、低音の輪郭を追えるかが重要です。新型は海外レビューで、旧型から音作りが大きく変わり、定位や分離を評価する声が見られます。
発売直後は国内の口コミが十分にそろっていません。DTM用に選ぶなら、店頭で次の順に試聴すると違いを判断しやすくなります。
- 聴き慣れたボーカル曲で声の位置を確認する
- ベースとキックが重なる曲で低域を聞き分ける
- 音量を下げても細かな音が追えるか試す
- モノラル音源で中央がずれて聞こえないか確かめる
- 30分ほど着け、頭頂部とあごの疲れを比べる
試聴の最初に派手さを感じる機種が、2時間の編集で正解とは限りません。DTMでは短い第一印象より、小音量での聞き分けと装着後半の疲れを優先しましょう。
旧型の中低域が好きなら、PROが必ず後継の好みになるとは限らない
旧型SDA-APOLLOは、自然なボーカル、厚みのある低音、明るく細部を描く高音をメーカーが特徴として挙げています。国内販売店のレビューでも、豊かな中低域やロックとの相性を評価する声が見られます。
Apollo PROはドライバー、振動板、ハウジング、ケーブルをまとめて変更しました。旧型の音を保ったまま解像度だけを上げた製品とは限りません。
旧型の濃い中低域に惹かれている人は、型番の「PRO」だけで決めず、同じ曲を同じ音量で聴き比べるのがおすすめです。音量が大きいほうを高音質と感じやすいため、試聴時はできるだけ音量をそろえてください。
41gの軽量化は首だけでなく、ミックス判断を守る
約395gから約354gへの軽量化は、持った瞬間の驚きより、着け続けた後に効きます。
重いヘッドホンでは、無意識に頭を前へ出したり、片手でハウジングを持ち上げたりしがちです。姿勢が崩れると首や肩が疲れ、休憩が増えます。ミックス終盤に判断が雑になる一因にもなります。
Apollo PROは、柔らかなラムレザーのヘッドバンドと通気性のあるベルベット製イヤーパッドを組み合わせています。重量だけでなく、頭頂部への荷重分散と蒸れに配慮した構成です。
354gなら誰にでも快適とは言い切れない
装着感は重量だけで決まりません。側圧、イヤーパッドの深さ、頭の形、メガネのつる、重心も影響します。
頭頂部へ重さが一点に集まれば、354gでも痛くなる場合があります。側圧が弱すぎると、前を向いたときにずれやすくなります。
試着では、正面を向くだけでなく、パソコンのキーボードを見る姿勢や、机の端にある機材へ手を伸ばす動きも試してください。30分後にずれず、頭頂部とあご周りへ痛みが出ないなら、長時間作業でも使いやすい可能性が高まります。
27Ω・93dBはスマホで鳴らせない?数字だけでは決まらない
新型は27Ω・93dB、旧型は16Ω・95dBです。新型はインピーダンスが上がり、感度が2dB下がりました。
数字を見ると新型のほうが鳴らしにくく見えます。実際の音量は、感度の測定条件、再生機器の電圧と電流、音源の音量でも変わります。27Ωだけを理由に大型アンプが必須とは言えません。
Apollo PROには4.4mmバランスケーブルと3.5mmへの変換アダプターが付属します。3.5mm出力のある機器なら接続できますが、最近のスマートフォンはイヤホン端子を持たない機種が増えました。USB DACが別途必要になる場合があります。
確認したいのは「音が出るか」ではなく、次の2点です。
- 普段の音源で音量を上げ切らず、余裕を残せるか
- 低域がぼやけず、音が重なった場面でも輪郭を追えるか
音量が取れても、最大付近まで上げなければならないなら再生機器の余裕が足りません。自宅で使うなら、4.4mm出力を備えたUSB DACや据え置きヘッドホンアンプを検討しましょう。
平面磁界型を含む有線ヘッドホンの再生環境をまとめて整えたい人は、かでくらの「DHA15の口コミレビュー」も参考になります。最大出力だけでなく、4.4mm、4pin XLR、6.35mmをどう使い分けるかまで確認できます。
開放型の音漏れは、隣室より「同じ部屋」で問題になる
新旧ともハウジングの背面を開いた開放型です。密閉型のように音をカップ内へ閉じ込めないため、空間の広がりや自然な抜けを得やすい反面、再生音は外へ漏れます。
音漏れを「電車で使えない」だけで終わらせると、自宅での失敗を見落とします。
深夜の寝室、オンライン会議中の家族がいる書斎、赤ちゃんを寝かせたリビングでは、小音量でも高音のシャカシャカした成分が届く場合があります。コンデンサーマイクを近くに置くDTM環境では、クリック音や伴奏が録音へ回り込む可能性もあります。
録音と編集でヘッドホンを使い分ける
ボーカルや楽器を録る最中は、音漏れを抑えやすい密閉型が向いています。録音後の編集や鑑賞では、開放型へ替えると熱がこもりにくく、広がりを確認しやすくなります。
Apollo PROも旧型SDA-APOLLOも、1台ですべてのDTM工程をこなすより、編集・ミックス・鑑賞用として考えるのが無難です。
音漏れが不安なら、購入前に普段の音量で再生し、ヘッドホンを机へ置いて1m離れてみてください。周囲にどれだけ聞こえるかを手軽に確かめられます。
ケーブル刷新は音質より、買い替え後の出費を確認したい
新型のケーブルは、古河OFC、銀メッキ銅、金メッキ銅を組み合わせた3重複合材です。2重シールドも採用し、外来ノイズを抑える設計をうたっています。
旧型は約2mの6N OCC 4芯リッツ線です。どちらも機器側は4.4mmバランスプラグですが、ヘッドホン側が3.5mm×2と2.5mm×2で異なります。
ケーブル素材だけで音の優劣を断定するのは避けたいところです。長さ、柔らかさ、衣服に触れたときの音、重さのほうが、机で毎日使う際には差として表れやすくなります。
旧型から買い替える人は、愛用中のケーブルを流用できない可能性を予算へ入れてください。純正ケーブルを使うなら追加費用は不要です。短いデスク用ケーブルや別端子が必要なら、新型対応品の価格まで含めて比べましょう。
Apollo PROがおすすめな人
Apollo PRO(SDA-APOLLO-PRO)がおすすめなのは、次のような人です。
- 2時間以上、ヘッドホンを着けたまま音楽を聴く
- DTMやミックス終盤まで集中を保ちたい
- 約395gのヘッドホンでは首や頭頂部が疲れる
- 旧型の音を守るより、新しい音作りを試したい
- 4.4mmバランス出力のUSB DACやヘッドホンアンプを持っている
- ゼブラウッドの外観や新しい複合ケーブルに惹かれる
新型へお金をかけるなら、決め手は78mmの数字だけではありません。約41g軽くなり、イヤーパッドやヘッドバンドも見直されたため、長時間の鑑賞や作業で新型の良さを受け取りやすくなります。
SDA-APOLLOがおすすめな人
旧型SDA-APOLLOがおすすめなのは、次のような人です。
- 平面磁界型ヘッドホンを4万円台から試したい
- 1回の使用時間は30分から1時間ほど
- 中低域の厚みを生かしてロックやボーカル曲を楽しみたい
- ローズウッドの光沢ある外観が好み
- 2.5mm×2の交換ケーブルをすでに持っている
- 新型の国内口コミが増えるまで待ちたい
旧型も68mm平面磁界ドライバー、開放型、4.4mmバランスケーブルを備えています。軽さや新しい音作りを求めなければ、値下がりした旧型で十分です。
ただし、在庫が減ると価格が戻ったり、交換用イヤーパッドの入手性が変わったりします。購入前に本体価格だけでなく、消耗品と保証期間も確認してください。
よくある質問
Apollo PROの口コミは多いですか?
Apollo PROは国内発売直後のため、日本語の口コミはまだ増えている途中です。発売前の試聴記事や海外レビューはありますが、音の好み、使用したアンプ、試聴時間を分けて読みましょう。
装着感の口コミでは、頭の大きさ、メガネの有無、連続使用時間まで書かれた投稿が参考になります。
ドライバーが68mmから78mmになると低音が増えますか?
口径だけで低音の量や質は決まりません。振動板の材質、磁気回路、ハウジング、イヤーパッド、チューニングも影響します。
Apollo PROは内部構造まで変わっているため、旧型の低音をそのまま増やした製品とは考えないほうがよいでしょう。
Apollo PROはDTMの録音にも使えますか?
編集やミックスには使えますが、開放型なのでマイク収録中は音漏れが入り込む可能性があります。ボーカルやアコースティック楽器を録るときは密閉型、録音後の確認には新型と使い分けるのがおすすめです。
スマートフォンへ直接つなげますか?
3.5mm出力があれば、付属アダプターを介して接続できます。イヤホン端子のないスマートフォンではUSB DACが必要です。
音量が取れるかは機種によって異なります。低音量から試し、普段の音量でボリュームに余裕がない場合は、出力の大きなUSB DACやヘッドホンアンプを使ってください。
旧型用のリケーブルは流用できますか?
旧型はヘッドホン側が2.5mm×2、新型は3.5mm×2です。端子径が違うため、そのままでは挿せません。
3.5mm×2ならどのケーブルでもよいとは限らないので、配線と極性を確認し、Apollo PRO対応が明記された製品を選ぶのが安全です。
まとめ:音の違いより先に、何分着け続けるかを決めよう
Apollo PRO(SDA-APOLLO-PRO)と旧型SDA-APOLLOの違いは、78mmと68mmのドライバーだけではありません。
新型は約41g軽くなり、振動板、ハウジング、イヤーパッド、ケーブル、ヘッドホン側端子まで変わりました。2時間を超える鑑賞やDTMでは、音質差を比べる前に、最後まで着けていられる軽さが効きます。
長時間の快適さと新しい音作りを求めるなら新型がおすすめです。短時間の音楽鑑賞が中心で、旧型の中低域と4万円台の価格に魅力を感じるならSDA-APOLLOで十分です。
試聴できるなら、好きな1曲だけで決めず、30分着けたままにしてください。音の第一印象ではなく、外したくなるまでの時間を比べると、長く使える1台を選べます。

