スマホで操作するスマート天体望遠鏡のSeestar S50に、新しいSeestar S50 Proが加わりました。国内の販売元であるビクセンの製品ページでは、旧型のSeestar S50は「生産終了」「在庫払底」の表示になっています。新型のS50 Proは、Amazonで予約受付中です。
旧型を在庫や中古で探すか、新型を待つか、迷っている人も多いでしょう。この記事では、ビクセンの両機の製品ページとZWOの比較記事をもとに、何が変わって何が変わらないのかを整理し、どちらを選ぶべきかをまとめます。筆者による実機の撮影はしていません。

同じ50mmの望遠鏡なのに、そんなに違うの?

口径は同じだけど、カメラが大きく変わったよ。広角カメラが付いて、天の川も撮れるようになったんだ。
結論:天の川も撮りたいなら新型、星雲を安く始めたいなら旧型
先に結論を書きます。星雲や星団だけでなく、天の川や星座、星の軌跡も1台で撮りたい人は、新型のS50 Proを選びましょう。望遠カメラの解像度が上がって視野も広くなり、広角カメラが加わったことで、撮れるものの幅が大きく広がりました。
一方、星雲や月、惑星をまず手軽に撮ってみたい人で、費用を抑えたい人は、旧型のS50を在庫や中古で探すのも選択肢です。ただし、旧型は生産終了なので、新品の在庫は限られます。中古を選ぶときは、保証とバッテリーの状態に注意が必要です。
Seestar S50 ProとS50の違いを一覧で比較
ビクセンの両機の製品ページの仕様をもとに、主な違いを並べます。
| 項目 | S50 Pro(新型) | S50(旧型) |
|---|---|---|
| 商品コード | 63011 | 63001 |
| 対物レンズ | 望遠:4枚アポクロマート/50mm | 50mm/3枚アポクロマート マルチコート |
| 焦点距離 | 望遠:260mm(F5.2)/広角:6mm(F1.75) | 250mm(F5) |
| 望遠のセンサー | OmniVision OS08B10(カラー) | SONY IMX462(カラー) |
| 視野角/解像度 | 望遠:2.8°・広角:63°/3840×2160px | 1.48°/1920×1080px |
| 広角カメラ | あり(SONY IMX586) | なし |
| 撮影距離 | 望遠:15m〜∞/広角:0.1m〜∞ | 30m〜∞ |
| ストレージ・バッテリー | 128GB・10000mAh | 64GB・6,000mAh(3.7V・約22.2Wh) |
| 通信 | Wi-Fi、USB Type-C、Bluetooth、NFC | Wi-Fi・USB Type-C・Bluetooth |
| サイズ・重さ | 140×145×260mm・2.8kg(本体) | 142.5×130×257mm・2.5kg |
| 架台 | 経緯台式(フォーク式赤道儀動作も可) | 経緯台式 |
| 三脚 | カーボン製2段伸縮式(高さ274.5〜363mm) | カーボン製2段伸縮式(高さ274.5〜363mm) |
望遠カメラの違い|4Kになり、視野は2.8°に
いちばん大きな違いは、望遠カメラです。ビクセンの仕様では、S50の望遠は1920×1080pxで視野角が1.48°、S50 Proは3840×2160pxで視野角が2.8°です。ZWOの比較記事は、S50 Proの望遠について「The S50 Pro telephoto camera uses a 1/1.2-inch, 8.3 MP sensor and captures 4K UHD images at 1x.」と説明しています。
視野が広くなると、大きな星雲や銀河を1枚の写真に収めやすくなります。ZWOは、2.8°の視野で、大きな天体を撮るときにモザイク撮影の枚数を減らせると説明しています。
価格.comには、S50 Proのレビューが1件ありました。旧型のS50を使っていた人で、「望遠のセンサーがS50よりかなり大きくなったので、M31もフレーミング拡大を使わなくても画角に入るようになった」と書いています。1件の声なので、参考の一つとして見てください。
焦点距離は、S50の250mm(F5)から、S50 Proでは260mm(F5.2)になりました。対物レンズは、S50の3枚アポクロマートから、S50 Proでは4枚アポクロマートに変わっています。
ビクセンは、S50 Proの光学系について「4枚玉アポクロマートの光学系を採用し、色収差を抑えたクリアな像を実現。」と説明しています。
日中の撮影の「相当」焦点距離は短くなった
日中に望遠カメラとして使うときの焦点距離は、ビクセンの説明で、S50が約1680mm相当、S50 Proが約880mm相当です(どちらもフルサイズ換算)。S50 Proはセンサーが大きくなったぶん、同じ口径でも写る範囲が広くなっています。遠くの野鳥などを大きく写したい人は、この違いも知っておきましょう。
撮影できる距離も変わりました。S50は30mから先でしたが、S50 Proの望遠は15mから、広角は0.1mから撮影できます。
広角カメラが加わり、天の川や星座も撮れる
S50 Proには、望遠カメラとは別に広角カメラが付きました。ビクセンは、「広角側は従来モデル(Seestar S30 Pro)と同様の焦点距離約35mm相当*のカメラとして使用することができます。」と説明しています。
広角カメラを使う撮影モードについて、ビクセンは「広角専用の撮影モードを使用することで、星座や天の川が撮影できるだけでなく、星の軌跡(スタートレイル)を撮影することも可能です。」と書いています。撮影モードは、星雲星団モード、太陽系モード、風景モードの3種類に、星座・天の川撮影モードが加わりました。
価格.comのレビューでは、広角カメラが天体の導入にも役立つと書かれていました。「S50は広角センサーがなく月の導入が下手でしたが、Proは広角センサーで位置を探し望遠で撮影すので短時間に一発で導入成功するようになった」という内容です。

天の川も撮れるなら、1台で何でもできそう!

星雲から天の川まで、1台でカバーできるのが新型の強みだね。
両機に共通する機能|光害カット・レンズヒーター・太陽フィルター
光害カットフィルター、レンズヒーター、太陽フィルターは、旧型のS50にもある機能です。新型だけの特徴ではないので、選ぶときの決め手にはなりません。
光害カットフィルターについて、ビクセンはS50 Proの製品ページで、「フィルターのOn/Offはアプリ内で切り替えることができます(望遠側のみ)。」と説明しています。S50の製品ページにも、光害カットフィルターを内蔵していると書かれています。どちらも、星雲の特徴的な波長だけを通すデュオバンドフィルターです。
レンズのくもりを防ぐレンズヒーターも、両機にあります。S50の製品ページは、「夜間に長時間撮影を行う際、レンズの温度が外気温より低くなることで生じる曇りを防ぐため、レンズヒーター機能を装備しています。」と説明しています。太陽フィルターも、どちらも専用品が付属します。
操作に使うスマホアプリ「Seestar」(無料)、星図表示や「今晩のおすすめ」、カーボン製の2段伸縮式三脚も共通です。

バッテリーとストレージ、重さの違い
バッテリーは、S50の6,000mAhから、S50 Proでは10000mAhになりました。ZWOの比較記事によると、「with laboratory-tested runtime increasing from about 6 hours on S50 to up to 9 hours on S50 Pro.」とのことです。ひと晩じっくり撮りたい人には、うれしい変更です。
内部ストレージは、S50の64GBから、S50 Proでは128GBに増えました。4Kの写真は1枚あたりのデータが大きくなるので、容量に余裕があると安心です。
重さは、S50が2.5kg、S50 Proが2.8kg(本体)です。新型は300g重くなりましたが、ビクセンは「重量を生かした高剛性設計により耐風性に優れているため、屋外でも揺れを抑え、安定した撮影を実現します。」と説明しています。
通信は、S50 ProでNFCが加わりました。架台は、S50 Proは経緯台式で、フォーク式赤道儀としても動かせます。ビクセンによると、赤道儀モードで使うには別途、雲台が必要です。
駆動系とモザイク撮影の違い
ZWOは、S50 Proの駆動系についても説明しています。比較記事では、「S50 Pro’s precision drive system is engineered for near-zero backlash, enabling smoother tracking and finer adjustments.」と書かれています。ほぼバックラッシュ(歯車のあそび)のない駆動系で、追尾がなめらかになり、細かい調整もしやすくなったという説明です。
価格.comの1件のレビューでも、「内部歯車がより細かくなったのか、動作がなめらか。」と書かれていました。使った人の感想と、メーカーの説明が同じ方向を向いています。
広い範囲を撮りたいときのモザイク撮影について、ZWOは、S50 Proでは望遠の細かさを保ったまま広い範囲をつなぎ合わせ、最大8Kで出力できると説明しています。もともとの視野が広いので、つなぎ合わせる枚数も少なくてすみます。
広角カメラを使う撮影では、天の川の撮影、星の軌跡、タイムラプスのほか、夜空と地上の景色を別々に処理して、星はくっきり、景色は自然に仕上げる機能も紹介されています。夜空と風景をいっしょに残したい人には、選ぶ理由になる部分です。
セット内容の違い
ビクセンの製品ページによると、S50 Proのセット内容は、本体、カーボン製三脚(2段伸縮式)、USB Type-Cケーブル、耐衝撃ケース、S50 Pro専用太陽フィルター、ZWO 天文学テーマステッカー、取扱説明書です。
S50のセット内容は、本体、カーボン製2段伸縮式三脚、USB Type-Cコード、耐衝撃ケース、S50専用太陽フィルター、取扱説明書です。三脚や耐衝撃ケースが付く点は同じなので、どちらを選んでも、届いたその日から撮影を始められます。
旧型を在庫や中古で買うときの注意
ビクセンの製品ページでは、旧型のS50は「生産終了」、「在庫払底」と表示されています。新品を買いたい人は、在庫が残っている売り場を探すことになります。
保証は、ビクセンの両機の製品ページで、どちらもお買い上げの日から2年間です。ただし、内蔵バッテリーは1年間の保証です。中古品を買う場合は、保証が残っているか、保証書があるかを、売り手に確かめておきましょう。
中古品では、バッテリーの状態にも注意が必要です。S50のバッテリーは本体に内蔵されているので、自分では交換できません。長く使われていた個体は、撮影できる時間が短くなっている可能性があります。付属品の太陽フィルターや耐衝撃ケースがそろっているかも見ておくと安心です。
S50 Proの価格.comのレビューの人は、ZWOのグローバルサイトで買った海外版を使っていました。国内の販売元はビクセンなので、保証やサポートの窓口を重視する人は、国内正規品を選ぶと安心です。
価格の見方
ビクセンの表示では、どちらもメーカー希望小売価格のないオープン価格です。S50 Proは、価格.comの最安価格が231,000円でした。
AmazonではS50 Proが予約受付中で、販売元はVixen Direct【公式】、価格は210,000円の表示でした。旧型のS50は、生産終了のため在庫や中古の価格が売り場ごとに大きく違います。比べるときは、新品か中古か、保証の残りがあるかをそろえて見てください。
どこで買える?
Amazonでは、国内正規代理店ビクセンのSeestar S50 Proが予約受付中です。
楽天市場では、JANコード4955295630110の検索結果からSeestar S50 Proを探せます。
旧型のS50は生産終了です。
旧型のSeestar S50がおすすめな人
- 星雲や月、惑星を、まず手軽に撮ってみたい人
- 費用をできるだけ抑えたい人
- 少しでも軽い本体がいい人(2.5kg)
- 日中に遠くの景色や野鳥を大きく写したい人
- 在庫の新品や、保証の残る中古を見つけられた人
旧型でも、50mmの口径、光害カットフィルター、レンズヒーター、太陽フィルターはそろっています。広角カメラや4Kの望遠がなくてもよい人には、今でも十分に楽しめる1台です。
新型のSeestar S50 Proがおすすめな人
- 天の川や星座、星の軌跡も撮りたい人
- 大きな星雲や銀河を、1枚の写真に収めたい人
- 4Kの解像度で撮りたい人
- ひと晩じっくり撮りたい人(最大9時間)
- 国内正規品の新品を、保証付きで買いたい人
新型は、星雲から天の川までを1台で撮れるようになったのが最大の魅力です。これからスマート天体望遠鏡を始める人で、長く使いたいなら、新型を選ぶと後悔が少ないでしょう。

S30 Proとも迷ったら
同じSeestarシリーズには、より小さなS30 Proもあります。ビクセンは、S50 Proの広角カメラをS30 Proと同様の約35mm相当と説明しています。S30 Proについては、Seestar S30 Proのレビューや、Seestar S30 ProとSeestar S30の違いも参考にしてください。
よくある質問
S50 Proに光害カットフィルターは新しく付いたのですか?
いいえ。光害カットフィルターは旧型のS50にも内蔵されています。S50 Proでは、フィルターのオンとオフをアプリで切り替えられ、望遠側だけで使います。
旧型のS50はもう新品で買えませんか?
ビクセンの製品ページでは、生産終了・在庫払底と表示されています。新品は、在庫が残っている売り場で探すことになります。
S50 Proに雲台は付いていますか?
セット内容は、本体、カーボン製三脚、USB Type-Cケーブル、耐衝撃ケース、専用の太陽フィルター、ステッカー、取扱説明書です。赤道儀モードで使うための雲台は別に用意します。
まとめ
Seestar S50 Proは、旧型のS50と同じ50mmの口径のまま、望遠カメラが4Kになって視野が2.8°に広がり、広角カメラで天の川や星座も撮れるようになりました。バッテリーとストレージも増えています。
光害カットフィルター、レンズヒーター、太陽フィルターは旧型にもあるので、違いはカメラと撮れる範囲だと考えると選びやすいでしょう。天の川まで撮りたいなら新型、星雲を手軽に安く始めたいなら在庫や中古の旧型が選択肢です。




