旧DX1にイヤホンを挿し、PCの音楽を聴くだけなら、買い替えを急ぐ必要はありません。
ところが、PCゲームではマイクを使いたい。PS5にもつなぎたい。4.4mmケーブルのヘッドホンも鳴らしたい。スピーカーへ切り替えるたびに配線を触りたくない。
機器が1台増えるたびに不便が積み重なっているなら、TOPPING DX1 IIは名前以上に大きな世代交代です。
結論からいうと、PCで音楽を聴くだけならDX1のままで十分。4.4mmバランス接続、PS5やNintendo Switch、ヘッドセットのマイク、PEQまで使うならTOPPING DX1 IIがおすすめです。
DX1から変わったのはDACチップだけではありません。USB専用のシンプルなDAC・ヘッドホンアンプから、PC、ゲーム機、テレビ、ヘッドホン、アクティブスピーカーの間に置ける「デスクの音声ハブ」へ役割が変わりました。
※記事内のリンクには広告が含まれます。価格や在庫は変わるため、購入前に販売ページでご確認ください。
買い替えの答えは、音質ではなく「いま何回ケーブルを抜くか」
DACの比較では、音の解像感や透明感が語られがちです。音の感じ方は、ヘッドホン、音源、音量、聴く人によって変わります。
買う前に数えたいのは、1日にケーブルを何回抜き差ししているかです。
| 現在の使い方 | おすすめ | 判断理由 |
|---|---|---|
| PCと3.5mm・6.35mmヘッドホンだけ | DX1を継続 | USB DACとして必要な機能がそろっている |
| 4.4mmケーブルを使いたい | TOPPING DX1 II | 4.4mmバランス出力を前面に搭載 |
| PCとPS5で同じヘッドホンを使う | TOPPING DX1 II | UAC 1.0と2.0を切り替えられる |
| ボイスチャットも1本のヘッドセットで済ませる | TOPPING DX1 II | 3.5mmの4極TRRS端子がマイク入力に対応 |
| ヘッドホンごとに低音や高音を調整したい | TOPPING DX1 II | 10バンドPEQを3パターン保存できる |
| 6.35mmプラグを変換なしで挿したい | DX1を継続 | 新型では6.35mm端子がなくなった |
DX1の不満が「新製品が出たから古く感じる」だけなら、そのまま使うのがおすすめです。
PS5用DAC、マイク入力、イコライザーを別々に買おうとしているなら、TOPPING DX1 IIへまとめた方が机も操作もすっきりします。
DX1 IIとDX1の違いを比較表で確認
新旧の主な仕様は次のとおりです。
| 比較項目 | TOPPING DX1 II | DX1 |
|---|---|---|
| DACチップ | ES9039Q2M | AK4493S |
| USBコントローラー | XMOS XU316 | XMOS XU208 |
| アンプ構成 | 4チャンネル・フルバランス | シングルエンド |
| 4.4mmヘッドホン出力 | 対応 | 非対応 |
| 3.5mmヘッドホン出力 | 対応・4極ヘッドセット対応 | 対応・ヘッドホンのみ |
| 6.35mmヘッドホン出力 | 非対応 | 対応 |
| 4.4mm出力 | 1,000mW×2(32Ω) | ― |
| 3.5mm出力 | 510mW×2(32Ω) | 280mW×2(32Ω) |
| USB入力 | USB Type-C | USB-B |
| 光入力 | 対応 | 非対応 |
| 光出力 | 対応 | 非対応 |
| RCAライン出力 | 対応 | 対応・音量固定 |
| 4.4mmライン出力 | 対応 | 非対応 |
| PEQ | 10バンド・3プリセット | 非対応 |
| UACモード | UAC 1.0/2.0 | UAC 2.0中心 |
| ゲーム機 | PS5・Nintendo Switchを想定 | 公式なゲーム機対応を確認できず |
| マイク入力 | 3.5mm TRRSで対応 | 非対応 |
| ディスプレイ | あり | なし |
| リモコン | 付属 | なし |
| 対応音源 | PCM 32bit/384kHz、DSD256 | PCM 32bit/384kHz、DSD256 |
| サイズ | 100×100×32mm | 100×98×32mm |
| 重さ | 約275g | 約255g |
| 電源 | USB Type-Cバスパワー | USB-Bバスパワー |
| 国内通常価格 | 24,750円 | 新品流通を確認しにくい |
対応する最大PCM・DSDは同じです。ハイレゾの数字が増えたから買い替える製品ではありません。
差が大きいのは、出力、端子、ゲーム機対応、音の調整機能です。
4.4mmは「音質アップ端子」ではなく、出力の余裕を得る端子
挿し替えるだけで音が必ず良くなるわけではない
4.4mmバランス接続では、左右の信号経路を分けやすく、クロストークを抑えた設計を採れます。TOPPING DX1 IIも4チャンネルのフルバランス構成です。
ただし、3.5mmから4.4mmへ替えれば、どのイヤホンでも別物の音になるわけではありません。差の大きさは、ヘッドホンの感度、インピーダンス、ケーブル、音量をそろえた比較でも変わります。
4.4mm端子を選ぶ一番わかりやすい理由は出力です。
TOPPING DX1 IIは32Ω負荷で、4.4mm出力が1,000mW×2、3.5mm出力が510mW×2。DX1は同じ32Ωで280mW×2です。新型の4.4mm出力は旧型の約3.6倍に達します。
低感度の平面磁界型ヘッドホンや、音量に余裕を持たせたいフルサイズヘッドホンでは、新型を選ぶメリットがあります。高感度IEMを小音量で聴くだけなら、最大出力を使い切りません。
4.4mmケーブルを持っていないなら総額で考える
ヘッドホン側がケーブル交換に対応していても、4.4mmケーブルは別売りの場合があります。本体だけ買っても、手元の3.5mmケーブルでは4.4mm出力を使えません。
購入前に次の点を確認しましょう。
- ヘッドホン側のケーブルを交換できるか
- 純正または互換4.4mmケーブルがあるか
- 左右の配線方式とピン配列が合うか
- ケーブル代を含めても4.4mmを使いたいか
変換プラグだけでシングルエンドのケーブルをバランス出力へ挿すのは危険です。誤った配線は機器の故障につながるため、ヘッドホンに合うバランスケーブルを使ってください。
PEQは新しいヘッドホンを買う前に、いまの不満を切り分けられる
10バンドで「低音が足りない」「高音が刺さる」を狙って直せる
TOPPING DX1 IIは、周波数、増減量、Q値を調整できる10バンドPEQに対応します。Q値は、調整する周波数の幅を決める数値です。
一般的な低音・中音・高音の3段階調整より細かく、次のような使い分けができます。
- 音楽用:沈み込む低音だけを足す
- 長時間作業用:耳に刺さる高音域を抑える
- FPS用:低音の量を整理し、足音が埋もれにくい帯域へ調整する
- 左右差の補正:左右チャンネルを別々に調整する
設定はTOPPING TuneやWebアプリから行い、3つのプリセットを本体へ保存できます。設定後は、音楽、ゲーム、スピーカー用をリモコンから呼び出せます。
独自の見方をすると、PEQは「音を派手にする機能」より、次のヘッドホンを買う前の診断道具です。低音だけが不満なのか、特定の高音だけが気になるのかを調整で確かめれば、好みに合わないヘッドホンを何本も買う失敗を減らせます。
PEQを使っても、ゲームにない足音は生まれない
PEQは特定の周波数を目立たせられますが、ゲーム内に収録されていない情報を作れません。敵の位置が急に分かるようになる機能でもありません。
大きな爆発音やBGMに足音が埋もれている場合は、聞き分けを助ける可能性があります。方向感は、ゲームの音響設計、ヘッドホンの定位、装着状態にも左右されます。
PEQを有効にすると、対応するUSB入力は192kHz以下が中心です。公式FAQでも、高サンプリングレートのミュート設定やPEQ設定によって音が出ない場合が案内されています。384kHz音源をそのまま再生することとPEQは、用途に合わせて切り替えましょう。
PS5とPCを同じヘッドセットで使えるのが新型の強み
UAC 1.0へ切り替えるとPlayStationへつなげられる
TOPPING DX1 IIは、USB Audio ClassのUAC 1.0と2.0を本体背面で切り替えられます。PCではUAC 2.0、PlayStationではUAC 1.0を使う想定です。
PS5へつなぐときは背面スイッチをUAC 1.0へ合わせ、USBケーブルを一度抜いて挿し直します。スイッチを動かしただけでは設定が反映されない点に注意してください。
旧DX1はUSB DACとしてPCへつなぐ設計が中心です。PS5で確実に使いたい人は、公式にUAC 1.0対応が案内されたTOPPING DX1 IIがおすすめです。
3.5mm端子ならヘッドセットのマイクも使える
新型の3.5mm端子は、CTIA規格の4極TRRSヘッドセットに対応します。ゲーム音を聴きながら、同じケーブルのマイクでボイスチャットができます。
注意したいのは、4.4mm端子へつないだヘッドホンからマイク入力できるわけではない点です。マイク付きゲーミングヘッドセットは3.5mm、音楽用のバランスヘッドホンは4.4mmと使い分けます。
XLRマイク、48Vファンタム電源、楽器入力、複数マイクの録音には対応しません。TOPPING DX1 IIはヘッドセット通話に対応するDACであり、本格的なオーディオインターフェースの代わりではありません。
光入出力でテレビと外部DACまで音の経路へ加えられる
DX1のデジタル入力はUSBだけでした。TOPPING DX1 IIはUSB Type-Cに加え、光デジタル入力と出力を備えます。
光入力には、テレビ、ゲーム機周辺機器、CDプレーヤーなどの光出力をつなげられます。PCを起動せずに、テレビの音を有線ヘッドホンで聴きたい場面に便利です。
光出力は、入力されたデジタル音声を別のDACや対応機器へ渡す用途に使えます。初期設定では光出力の音量が最大固定です。アンプやスピーカーへつなぐ前に、接続先の音量を下げてください。設定を変更すれば、本体側で光出力音量を調整できます。
RCAと4.4mmのライン出力もあるため、アクティブスピーカーや外部アンプへ音を送れます。ヘッドホンとライン出力は、ノブのダブルクリックや付属リモコンで切り替え可能です。
旧DX1はヘッドホンとRCAが同時出力で、RCAの音量は最大固定でした。スピーカーとの切り替えまで本体へ任せたい人ほど、新型の操作性を実感できます。
新型にも「完全な上位互換ではない」弱点がある
6.35mm端子がなくなった
DX1は前面に3.5mmと6.35mmのヘッドホン端子を備えます。TOPPING DX1 IIは3.5mmと4.4mmです。
スタジオヘッドホンや据え置き向けヘッドホンに多い6.35mmプラグは、3.5mmへの変換アダプターが必要です。変換なしで挿したいなら、旧型の方が手軽です。
付属ケーブルが6.35mmしかないヘッドホンを使っている人は、変換アダプター代と端子まわりの長さも見ておきましょう。
Bluetoothには対応しない
TOPPING DX1 IIは接続方法が増えましたが、Bluetooth DACではありません。スマートフォンからワイヤレスで音楽を飛ばしたい場合は、USBケーブルや別のBluetoothレシーバーが必要です。
完全ワイヤレスイヤホンの音を良くする機器でもありません。DACの恩恵を受けるのは、本体のヘッドホン端子やライン出力につないだ有線機器です。
USBバスパワーなので、光入力でもUSB給電が必要
本体はUSB Type-Cから電源を取ります。光入力でテレビの音を聴く場合も、USB端子から5V電源を供給しなければ動きません。
USBケーブル1本でPCの音声と電源をまかなえるのは長所です。光入力では、光ケーブルに加えて給電用USBケーブルが必要になるため、「光ケーブル1本だけ」とはなりません。
DX1所有者が買い替えるべき条件
DX1を持っている人は、次のうち2項目以上に当てはまるなら買い替えを検討しましょう。
- 4.4mmバランスケーブルのヘッドホンを買った
- DX1では音量の余裕が足りないヘッドホンがある
- PCとPS5・Nintendo Switchで同じDACを使いたい
- 4極ヘッドセットのマイクも使いたい
- ソフトを常駐させず、ヘッドホンごとのPEQを保存したい
- テレビやCDプレーヤーを光入力へつなぎたい
- ヘッドホンとスピーカーを本体やリモコンで切り替えたい
当てはまるのが「DACチップが新しくなった」だけなら、DX1を使い続けて問題ありません。音の好みはチップ名だけで決まらず、旧型もPCM 32bit/384kHzとDSD256に対応します。
複数の機器を1台へ集約できる人には、TOPPING DX1 IIがおすすめです。
初めて買うならDX1 IIがおすすめ。旧型は在庫と保証を確認
新しくUSB DACを買う人には、TOPPING DX1 IIがおすすめです。国内通常価格は24,750円で、リモコン、4.4mm、PEQ、ゲーム機対応まで含まれます。
DX1は新品在庫を見つけにくく、中古や並行輸入が中心になる可能性があります。安く見つけても、次の点を確認してください。
- 国内保証を受けられるか
- USBケーブルや説明書がそろっているか
- ボリュームにガリや左右差がないか
- 3.5mm・6.35mm端子が目的に合うか
- PS5、PEQ、マイク入力が不要か
PCと一般的な有線ヘッドホンだけで使い、中古価格を優先するならDX1も候補です。新品で長く使い、あとからゲーム機や4.4mmへ広げたいなら、最初からTOPPING DX1 IIを選ぶ方が買い直しを防げます。
DX1 IIでも出力が足りない人は上位機を検討
TOPPING DX1 IIの4.4mm出力は32Ωで1,000mW×2です。一般的なイヤホンや多くのヘッドホンには十分な出力ですが、低感度の平面磁界型を大音量で鳴らす人には余裕が足りない場合があります。
据え置き機でさらに大きな出力が必要なら、DHA15の口コミレビューも参考になります。DHA15は最大15W+15W、4pin XLR・4.4mm・6.35mm出力を備えるため、DX1シリーズとは価格も狙うヘッドホンも異なります。
イヤホン中心なら新型の出力を使い切れない場合もあります。必要な音量が取れているなら、最大ワット数を競う必要はありません。
よくある質問
DX1 IIはPS5で使えますか?
使えます。TOPPING DX1 IIの背面スイッチをUAC 1.0へ切り替え、USBケーブルを抜き差ししてください。PS5側の音声出力・マイク入力にも本機を設定します。
DX1 IIの4.4mm端子へマイク付きイヤホンをつなげられますか?
4.4mm端子はバランスヘッドホン出力です。マイク入力には3.5mmの4極TRRS端子を使います。4.4mmバランス接続とヘッドセット通話は同じ端子では利用できません。
PEQはスマートフォンやPS5でも使えますか?
調整したプリセットを本体へ保存すれば、接続機器を替えても呼び出せます。細かな編集はTOPPING TuneまたはWebアプリから行います。入力形式やサンプリングレートによって制限があるため、音が出ない場合はPEQをオフにして設定を確認してください。
4.4mmと3.5mmは同時に音が出ますか?
2つのヘッドホンを同時に鳴らす使い方は前提にしない方が安全です。接続や出力の切り替えは、取扱説明書の手順に従ってください。複数人で同時に聴くなら、専用の分配機や複数出力対応アンプを検討しましょう。
DX1 IIはスピーカーの音量も調整できますか?
RCAまたは4.4mmライン出力をプリアンプモードで使えば、本体の音量調整を利用できます。固定出力のDACモードも選べるため、接続先に音量調整があるかで使い分けましょう。固定出力へ切り替える前は、スピーカー側の音量を下げてください。
旧DX1から音質だけを目的に買い替えるべきですか?
音質の感じ方だけを理由にした買い替えは、試聴してからがおすすめです。旧型も再生対応はPCM 32bit/384kHz、DSD256です。4.4mmの出力、PEQ、ゲーム機、マイク、光入出力のうち必要な機能があるなら、新型へ買い替えるメリットがあります。
まとめ:DX1 IIは音を良くする箱より、デスクの音をまとめる箱
TOPPING DX1 IIとDX1の違いは、DACチップの世代差だけではありません。
- PCで音楽を聴き、3.5mm・6.35mmヘッドホンを使うだけならDX1を継続
- 4.4mmと大きな出力、PEQ、PS5、ヘッドセットのマイクが必要ならTOPPING DX1 II
- テレビの光入力やスピーカー切り替えまで1台へまとめるならTOPPING DX1 II
- 6.35mmプラグを変換なしで使いたいならDX1の方が手軽
4.4mm端子だけを見て買うと、違いを持て余します。PC、ゲーム機、ヘッドホン、マイク、スピーカーの間でケーブルを触る回数を減らせるなら、TOPPING DX1 IIを選ぶのがおすすめです。


