AVR-X3900HとAVR-X3800Hの違いは約15万円分ある?新DACよりスピーカーに予算を回すべき人

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AVアンプを新しくすれば、映画のセリフがくっきりし、爆発音の余韻まで変わる。そう聞くと、後継機のほうが欲しくなります。

しかし、今回の比較で先に見るべきなのは型番の新しさではありません。

新型にかける約15万円を、センタースピーカーやサブウーファー、部屋の音響対策に回したほうが、シアター全体の満足度が上がらないかです。

AVR-X3900Hは、電流出力型DACや電源部を刷新し、音の見通しと低音の力感を磨いた新型です。チャンネルエキスパンダーやAMD FreeSyncにも対応し、9本以上のスピーカーやゲーミングPCを生かしやすくなりました。

一方、AVR-X3800Hも9chパワーアンプ、11.4chプロセッシング、6系統の8K対応HDMI入力を備えています。基本構成は今でも強力で、型落ち価格なら余った予算を音の出口であるスピーカーへ回せます。

結論は次のとおりです。

  • 音の輪郭や低音の制動まで詰めたい、9本以上のスピーカーを積極的に鳴らしたい、PCゲームも重視するならAVR-X3900Hがおすすめ
  • 初めて本格的なAtmos環境を組む、5.1.4chや7.1.2chで十分、総予算をスピーカーにも配分したいならAVR-X3800Hがおすすめ
  • すでにAVR-X3800Hを使っているなら、音質向上だけを理由に急いで買い替える必要はありません

この記事では、カタログの丸印では見えにくい「実際にどんな場面で差が出るのか」まで掘り下げます。

※記事内のリンクには広告が含まれます。価格や在庫、アップデートによる対応機能は変わるため、購入前に商品ページと公式情報をご確認ください。

先に知りたい7つの違い

両機の差を、音・システム構成・ゲームの3方向から整理しました。

比較項目AVR-X3900HAVR-X3800H体感しやすい場面
DAC32bit対応の電流出力型DACを2基電圧出力型DAC音が重なる映画、ライブ、2ch音楽
電源・音質設計ブロックコンデンサーや周辺回路を刷新従来設計大音量時の低音、細かな環境音
独自の音場機能チャンネルエキスパンダー対応非対応9本以上のスピーカーを設置したAtmos再生
センターバイアンプ対応非対応セリフを担うセンタースピーカーの駆動
ゲーム対応4K/120Hz、VRR、ALLM、AMD FreeSyncなど4K/120Hz、VRR、ALLMなどゲーミングPC、対応ディスプレイ
将来のワイヤレス拡張対応予定のDENON HOME連携あり同等の新連携は確認できず後方へスピーカーケーブルを通しにくい部屋
価格希望小売価格279,400円型落ちで実売約12.8万円の例ありシステム総額の配分

アンプ部はどちらも9ch、定格出力105W+105W(8Ω、2ch駆動)、最大11.4ch処理です。つまり、AVR-X3900Hはスピーカー数や数字上の出力を増やしたモデルではなく、同じ骨格のまま音質と使い切る機能を磨いたモデルと考えると分かりやすいでしょう。

約15万円の差は、アンプだけで回収しなくていい

AVR-X3900Hの希望小売価格279,400円に対し、AVR-X3800Hは約12.8万円で販売されている例がありました。単純計算では約15万円の差です。

ただし、AVアンプの価値は本体だけでは決まりません。映画のセリフを聞き取りやすくするならセンタースピーカー、地響きまで再現するならサブウーファー、音像を整えるなら設置と部屋の反射対策も重要です。

たとえば総予算30万円なら、選び方は大きく変わります。

  • AVR-X3900Hを選ぶと、アンプを中心に既存スピーカーを生かす構成になる
  • AVR-X3800Hを選ぶと、差額をセンター、サブウーファー、Atmos用スピーカーへ配分できる

テレビ内蔵スピーカーやサウンドバーから初めて分離型シアターへ移る人は、後者のほうが変化を実感しやすい場合があります。反対に、すでに質の高いスピーカーがそろい、アンプがシステムの弱点になっているなら新型へお金をかける価値があります。

価格差の判断は「保有スピーカー」で変わる

現在の環境おすすめ理由
スピーカーをこれから一式そろえるAVR-X3800H音の出口へ予算を残せる
すでに5.1.4ch以上が完成しているAVR-X3900H新DACや電源設計の差を生かしやすい
センタースピーカーに不満があるまずスピーカーの見直しアンプ交換だけでは根本原因が残る場合がある
PCゲームと映画を1台に集約したいAVR-X3900HAMD FreeSync対応が決め手になる

音質差は「音量」より、音が重なった瞬間に出る

両機の定格出力は同じです。そのため、新型の魅力を「大きな音が出る」と説明するのは正確ではありません。

AVR-X3900Hは、シーラスロジック製の32bit対応電流出力型DACを2基採用。D/A変換回路を専用基板に置き、I/V変換部やカップリングコンデンサー、電源のブロックコンデンサーも見直されています。

狙いは、次のような複雑な場面で音を団子にしないことです。

  • 爆発音の奥で交わされるセリフ
  • 雨や風、足音が同時に動くサスペンス
  • バスドラムとベースが重なるライブ映像
  • 小さな環境音から一気に大音量へ移るアクション

新型の試聴記事では、旧世代より音の輪郭が鮮明で、低音の重さと空間の奥行きを感じやすいという評価が見られました。ただし、これはスピーカーや部屋、音量でも印象が変わります。小音量中心のリビングや入門スピーカーでは、価格差がそのまま感動の差になるとは限りません。

口コミは新型の少なさと旧型の蓄積を分けて見る

AVR-X3900Hは発売から日が浅く、長期使用の口コミはまだ十分にそろっていません。現時点では、メーカー説明会や専門媒体の試聴で評価された音の分離、低音の重さ、音場の奥行きが主な判断材料です。

AVR-X3800Hは2022年発売で、価格比較サイトでは13件のレビュー平均が5点満点中4.51でした。評価数は多くありませんが、長く販売され、設定や接続に関する情報を探しやすいことは型落ちの利点です。

ただし、ネットワーク接続やHDMI連携の口コミは、ルーター、テレビ、ケーブル、ファームウェアにも左右されます。個別の不具合報告だけで決めず、自分と同じ接続機器・使い方かを確認しましょう。

セリフを改善したい人はセンターバイアンプも注目

AVR-X3900Hは、空いているアンプをセンタースピーカーのバイアンプ駆動に使えます。対応スピーカーが必要ですが、映画で最も気になりやすい声を支える機能です。

ただし、声が聞き取りにくい原因がセンターの設置位置やテレビ台の反射、音場補正の設定なら、買い替え前に改善できる可能性があります。「セリフのためだけに新型」ではなく、設置を直しても不満が残るかで判断しましょう。

新型の本当の武器は「余っているスピーカーを鳴らす」こと

Dolby Atmos対応作品でも、設置したすべてのハイトスピーカーへ常に信号が入るわけではありません。せっかく天井や壁に取り付けたのに、作品によっては一部がほとんど鳴らないことがあります。

AVR-X3900Hのチャンネルエキスパンダーは、音が割り当てられていないスピーカーに隣接チャンネルの信号を合成して再生する機能です。前方から頭上、後方へ抜ける移動音をつなぎやすく、9本以上のスピーカーを設置した人ほど恩恵を受けます。

これは11.4ch処理という数字より、実際の投資を無駄にしにくい機能です。

一方、5.1.2chや5.1.4chで始める人には優先度が下がります。AVR-X3800HでもDolby Atmos、DTS:X、Auro-3D、IMAX Enhancedに対応し、映画の立体音響を十分楽しめます。

後方配線を避けたい人は将来のアップデートを確認

AVR-X3900Hは、今後のアップデートで対応するDENON HOMEスピーカーをサラウンドまたはサラウンドバックに使える予定です。新築後に床をケーブルが横切るのを避けたい人には魅力があります。

ただし、ワイヤレスでも各スピーカーの電源は必要です。対応時期、対象機種、組み合わせの制限は、導入前に公式情報を確認してください。将来予定だけを決め手にするより、有線で組めるかも含めて考えるのが安全です。

PS5中心なら旧型でも十分、PCゲームなら新型が有利

両機とも6系統のHDMI入力が8K/60Hz、4K/120Hzに対応し、VRRとALLMも利用できます。PS5やXbox Series Xを4K/120Hzで遊ぶという目的だけなら、AVR-X3800Hでも不足しにくい仕様です。

AVR-X3900HはAMD FreeSyncと1440p映像への対応が加わり、ゲーミングPCとの相性が向上しました。テレビ、プロジェクター、PCモニターを組み合わせ、映像とAtmos音声をAVアンプへ集約したい人におすすめです。

なお、Bluetoothの音声コーデックは両機ともSBCです。新型になったからワイヤレス音楽がハイレゾ相当に変わるわけではありません。音楽配信はHEOSやAirPlay 2など、ネットワーク再生を中心に考えましょう。

音場補正はライセンス代まで予算に入れる

両機とも付属マイクを使うAudysseyの自動音場補正に対応し、より高度なDirac Liveは有償アップグレードです。AVアンプ本体を買えば、すべてのDirac機能が無料で使えるわけではありません。

とくに複数のサブウーファーを使う人は、Room Correction、Bass Control、ARTなど、必要な機能と対応状況、ライセンス価格を購入前に確認してください。AVR-X3900Hは公式ページと発表時の案内で音場補正の表記に差が見られるため、ここは最新の公式情報を基準にするのが確実です。

音場補正は便利ですが、悪い設置を何でも直せる魔法ではありません。スピーカーの距離、向き、サブウーファーの位置を整えてから測定することで、効果を生かしやすくなります。

AVR-X3800H所有者が買い替えるべき3条件

すでにAVR-X3800Hを使っているなら、次のうち2つ以上に当てはまる場合にAVR-X3900Hへの買い替えを検討しましょう。

  1. 9本以上のスピーカーを設置済みで、鳴らないチャンネルが気になる
  2. スピーカーやサブウーファーを十分に整えても、低音の制動や音の分離に不満が残る
  3. AMD FreeSync対応PCや1440p環境をAVアンプ経由で使いたい

HDMI入力数、4K/120Hz、9chアンプ、11.4ch処理を目的にするだけなら、旧型から得られるものは大きく変わりません。買い替え費用を外部パワーアンプやスピーカーへ回す選択も有力です。

AVR-X3900Hがおすすめな人

AVR-X3900Hは、次のような人におすすめです。

  • すでにスピーカー環境が整い、アンプ側の音質を一段上げたい
  • 5.1.4ch以上から、さらにハイトスピーカーを増やす予定がある
  • 映画の移動音を途切れにくくし、設置したスピーカーを生かしたい
  • センターバイアンプを使い、セリフの再生にもこだわりたい
  • AMD FreeSync対応のゲーミングPCを接続したい
  • 後方のワイヤレス化を将来の選択肢に入れたい

新DACだけでなく、チャンネルエキスパンダーまで使う人ほど、新型を選ぶメリットが大きくなります。

AVR-X3800Hがおすすめな人

AVR-X3800Hは、次のような人におすすめです。

  • 初めて本格的なDolby Atmos環境を作る
  • 5.1.4chや7.1.2chを中心に考えている
  • PS5の4K/120Hz対応があれば十分
  • AVアンプだけでなく、センターやサブウーファーも買い替えたい
  • 価格を抑えつつ11.4ch処理や4系統のサブウーファー出力を確保したい
  • 音質と機能が成熟した型落ちモデルを選びたい

在庫限りになる可能性があるため、購入時は新品・中古の区分、保証、付属マイクの有無まで確認しましょう。

まとめ:完成済みのシアターを磨くなら新型、これから作るなら旧型

AVR-X3900HAVR-X3800Hは、9chアンプや11.4ch処理、6系統の8K HDMI入力といった土台が共通しています。

差が出るのは、新しいDACと電源設計による音の分離・低音の力感、チャンネルエキスパンダー、センターバイアンプ、AMD FreeSync、将来のワイヤレス拡張です。

すでにスピーカーへ十分投資し、使っていないチャンネルまで生かしたいなら、AVR-X3900Hがおすすめです。完成済みのシアターを磨くための新型といえます。

これからシステムを作るなら、AVR-X3800Hがおすすめです。約15万円の差をセンタースピーカーやサブウーファーへ回すほうが、セリフ、低音、包囲感のすべてを変えやすいからです。

AVアンプの型番だけを上げるのではなく、限られた予算で部屋全体の音をどこまで引き上げられるか。それが、今回の2機種で後悔しない選び方です。

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