なぜ、最新のロボット掃除機を買ったのに、一番気になる「ソファの下」や「ベッドの奥」はホコリまみれのままなのか。
答えは単純です。ロボット掃除機が物理的に入れないからです。
これまで、吸引力や水拭き性能、AI回避機能といった「機能スペック」は飛躍的に向上してきました。しかし、それらの高性能センサー(特にLiDARタワー)を搭載しているがゆえに、本体の高さは長らく9.5cm〜10.5cmという「壁」を超えられずにいました。
一方で、私たちの家にあるテレビボード、モダンなローソファ、脚付きベッドの隙間は、往々にして 8cm〜10cm しかありません。このわずか数センチの差が、「人間が床に這いつくばってクイックルワイパーを突っ込む」という家事を残し続けていたのです。
2025年、Roborockはこの物理的な限界をついに突破しました。
新登場したSaros 10Rの高さは、驚異の7.98cm。
従来のフラッグシップモデル S8 MaxV Ultra(約10.3cm) と比較して、約2.3cmもの薄型化を実現。この数字の違いは、単なるスペックの差ではありません。「掃除できない場所がなくなる」という、生活の質の劇的な変化を意味します。
本記事では、Roborockの最新薄型モデル Saros 10R と、実績ある絶対王者 S8 MaxV Ultra を徹底比較。「7.98cm」という数字があなたの生活をどう変えるのか、そして薄型化によって失われた機能はないのか、あらゆる角度から検証します。
【スペック比較】Saros 10R vs S8 MaxV Ultra 決定的な違いは4つ

まず、両者の違いを客観的な数字で把握しましょう。「何が進化して、何が違うのか」、決定的なポイントは4つあります。
1. 高さ:圧倒的な「2.3cm」の差
最大の違いにして最大の価値がここです。
- S8 MaxV Ultra: 高さ 約10.3cm(公式グローバル寸法参照)
- Saros 10R: 高さ 7.98cm
通常、ロボット掃除機業界では「薄型」というと吸引力やナビ性能を犠牲にした廉価版であることが多いのですが、Saros 10Rは後述するように「超・高性能」を維持したまま薄くなっている点が革新的です。10.3cmでは入れなかったIKEAのベストー(テレビ台)や、デザイン重視の低いソファの下に、Saros 10Rならスルスルと入っていきます。
2. 吸引力:まさかの「倍増」
薄くなるとパワーが落ちる? いえ、逆でした。
- S8 MaxV Ultra: 10,000 Pa
- Saros 10R: 20,000 Pa
S8 MaxV Ultraの10,000Paでも業界トップクラスの強力さですが、Saros 10Rはその2倍。カーペットの奥に潜んだ微細な粉塵や、ペットの重たい毛を吸い込む力において、スペック上はSarosが圧倒しています。
3. ナビゲーション技術:LiDAR vs 3D ToF
ここが薄型化の技術的な「キモ」です。
- S8 MaxV Ultra: PreciSense LiDAR レーザーナビゲーション
- 本体上部の「塔(タワー)」からレーザーを飛ばし、高精度にマッピングします。実績と信頼性はNo.1ですが、タワーがある分、背が高くなります。
- Saros 10R: StarSight 3D ToF システム
- 3D ToF(Time of Flight)センサーとRGBカメラを組み合わせ、タワーを排除しました。車載の自動運転技術に近い仕組みで、障害物認識数はS8の73種に対し、Sarosは108種へと進化しています。
4. ドック機能:8way vs 5way(呼び名は違えど、どちらも「全自動」)
日本国内での呼称が異なりますが、実質的な機能はどちらも「家事からの解放」です。
- S8 MaxV Ultra: 5way全自動ドック(ゴミ収集・水拭き洗浄・給水・乾燥・洗剤自動投入)
- Saros 10R: 8way全自動ドック(上記に加え、より細分化された機能定義やメンテナンス性の向上)
Saros 10Rのドック(グローバルでは10-in-1 Dock 4.0とも呼ばれる)は、セルフクリーニング機能などが強化されていますが、ユーザー体験としては「どちらも手間いらず」という点で共通しています。
スペック比較まとめ表
| 項目 | Saros 10R (新) | S8 MaxV Ultra (王道) |
|---|---|---|
| 本体高さ | 7.98cm | 約10.3cm |
| 吸引力 | 20,000Pa | 10,000Pa |
| ナビゲーション | StarSight / 3D ToF (タワー無し) | PreciSense LiDAR (タワー有り) |
| 障害物認識 | 108種 | 73種 |
| ブラシ | デュアル毛がらみ防止ブラシ | デュアルラバーブラシ |
| エッジ清掃 | 伸縮サイドブラシ + 壁際モップ | 伸縮サイドブラシ + 壁際モップ |
| ドック | 8way全自動 | 5way全自動 |
| 発売日(日本) | 2025年6月 | 2024年8月 |
「7.98cm」が生活を変える具体的シーン

「たった2cmちょっとの違いでしょ?」と思われるかもしれません。しかし、家具のデザインにおいて、床からの高さ「10cm」は大きな境界線です。
10cmの壁に泣かされてきた家具たち
以下のような家具をお持ちの方は、これまでロボット掃除機の恩恵をフルに受けられていませんでした。
- ロータイプのテレビボード: 配線を隠すために低く設計されているものが多く、高さ8〜9cmの隙間しかない製品が多数あります。
- 脚付きベッドフレーム: デザイン性の高い木製フレームや、収納付きベッドの足元は意外と低く、奥に巨大な「ホコリの綿あめ」が育ちがちです。
- モダンデザインのソファ: 海外ブランドやデザイナーズ家具は、床座に近いライフスタイルに合わせて座面が低く、脚も短い傾向があります。
S8 MaxV Ultra(10.3cm)は、センサーの突起が物理的に引っかかります。「ガツッ」と当たって引き返すならまだマシで、無理に入り込んで「助けてください!」と立ち往生することもありました。
Saros 10Rがもたらす「潜入清掃」の快感
Saros 10Rの7.98cmという薄さは、これらの家具の下に余裕を持って入り込みます。
実際にSaros 10Rを使用したユーザーからは、次のような驚きの声が上がっています。
「今までクイックルワイパーを棒で延長して無理やり掃除していたテレビ台の下を、今は毎日Sarosが掃除してくれる。出てきたダストボックスを見てゾッとした(こんなに溜まっていたのかと)。」
「ソファの下が暗黒のホコリ地帯だったのが、今は床がピカピカ。子供がおもちゃをソファの下に入れても、ホコリまみれにならずに済むのが嬉しい。」
これまで「ロボット掃除機のために家具を買い替える(脚を高くする)」という本末転倒な対策が必要でしたが、Saros 10Rなら今の家具のまま、聖域なき清掃が可能になります。
吸うだけじゃない!20,000Paと髪の毛ゼロへの挑戦

Saros 10Rについて特筆すべきは、「薄いのに強い」という点です。通常、筐体を薄くするとモーターサイズが制限され、吸引力は下がりがちです。しかしRoborockは、ここで妥協しませんでした。
驚異の20,000Pa
S8 MaxV Ultraの10,000Paも十分に強力で、フローリングの溝のゴミまで吸い出す力があります。しかしSaros 10Rは、その倍の20,000Pa。
これはもはやオーバースペックに見えるかもしれませんが、毛足の長いラグやカーペットで真価を発揮します。繊維の奥深くに絡みついたハウスダストやダニの死骸を、圧倒的な風量で力づくで引き剥がします。「掃除機をかけたはずなのに、コロコロをするとまだゴミがつく」という経験がある方には、このパワーの違いが実感できるはずです。
ペットオーナー歓喜の「毛がらみ0%」認証
吸引力だけでなく、ブラシの構造も進化しています。Saros 10Rは「デュアル毛がらみ防止ブラシ」を採用。
S8 MaxV Ultraも「デュアルラバーブラシ」で毛がらみに強かったのですが、Sarosはさらに構造を最適化。
- 2本のメインブラシがそれぞれ中央で分割されており(DuoDivide系構造)、毛が中央ではなくブラシの両端に移動するように設計されています。
- 両端に移動した毛は、そのまま吸気口へとスムーズに吸い込まれます。
SGS認証試験で「毛のからまり度0%」を達成しており、長髪の家族がいる家庭や、換毛期のペット(犬・猫)がいる家庭にとっては、「ブラシのお手入れ」という最も嫌なメンテナンスから解放されることを意味します。サイドブラシまでもが毛がらみ防止構造になっている徹底ぶりです。
四隅も逃さない「伸縮サイドブラシ」
S8 MaxV Ultraで好評だった「FlexiArm Design」も継承・進化しています。部屋の角(コーナー)を検知すると、サイドブラシが「ニョキッ」と伸びて、角のゴミを掻き出します。
さらに水拭きモップも壁際ギリギリまで寄せる設計になっており、「丸いロボットは四角い部屋の隅を掃除できない」という定説を完全に過去のものにしました。
【検証】LiDARなしで大丈夫?ToFナビの実力と3D回避

ここが購入検討時の最大の懸念点でしょう。「実績あるLiDAR(レーザー)を捨てて、ToF(カメラ系)にして大丈夫なのか?」
LiDARタワーを捨てた理由
S8シリーズまでのRoborockの強みは、LiDARによる正確無比なマッピングでした。しかし、LiDARはどうしても本体上部に突起(タワー)を作る必要があり、これ以上の薄型化を阻む要因でした。
Saros 10Rは、「薄さ」を優先するために、あえてLiDARタワーを排除し、StarSight自律走行システム(3D ToF + RGBカメラ)を選択しました。
実際の賢さは?
結論から言うと、「実用上は全く問題ないレベルだが、理論値ではLiDARに劣る場面もあり得る」というのが公平な評価です。
- 認識能力は向上: カメラとAIの力により、障害物認識数はS8の73種から108種に増えています。スリッパ、ケーブル、ペットのフンだけでなく、床にある雑誌や鏡なども高精度に識別し、回避します。
- マッピング速度: 3Dスキャンにより、初回マッピングも高速です。
- 暗所性能: ToFは自ら光(赤外線)を発して距離を測るため、真っ暗な家具下でも問題なく走行できます。
ただし、外部の厳密な比較テスト(Vacuum Warsなどのレビュー)では、「広大なオープンスペースでの効率的なルート取り」や「ガラスなどの特殊素材への反応」において、熟成されたLiDARシステムの方がわずかに無駄がない動きをする、という指摘もあります。
とはいえ、これは「100点満点中98点(LiDAR)」と「95点(ToF)」の違いのようなものです。「98点の走行性能で家具下に入れない」ロボットより、「95点の走行性能で家具下も掃除できる」ロボットの方が、部屋全体の清浄度は間違いなく高くなります。
ドック性能とメンテナンス性

ロボット掃除機選びで忘れてはいけないのが、ベースステーション(ドック)の性能です。Saros 10Rの「8way全自動ドック」は何をしてくれるのでしょうか。
手を汚す作業はほぼゼロに
Saros 10Rのドックが行うのは以下の作業です。これら全てが全自動です。
- ゴミ収集: 本体からゴミを吸い上げ、紙パックへ(最大数ヶ月に1回捨てるだけ)。
- モップ洗浄: 掃除中や掃除後に、汚れたモップを自動で洗います(高温洗浄対応)。
- 給水: 本体の水タンクが減ったら自動で補充。
- 乾燥: 洗浄後のモップとドック底面を温風乾燥し、臭いやカビを防ぎます。
- 洗剤自動投入: タンクに洗剤を入れておけば、適量を自動ミックス。
- 汚水検知: モップの汚れ具合を見て、再洗浄するか判断。
S8 MaxV Ultraのドックも同様の機能を備えていますが、Saros 10Rのドックは内部構造が見直され、ドック自体のベースプレート(底面)の清掃メンテナンス性が向上しています(自浄機能の強化)。
また、S8 MaxV Ultraのドック同様、デザインも洗練されていますが、高さには注意が必要です。どちらのドックもタンクを出し入れするため、ドックの上部にはスペースが必要です。Saros本体は薄いですが、ドックを含めた設置場所は事前に確認しておきましょう。
価格と選び方:あなたはどっちを買うべき?

最後に、価格とニーズに基づいた選び方を整理します。
S8 MaxV Ultra を選ぶべき人
- 家具下掃除(10cm未満)のニーズがない人: すべての家具の脚が11cm以上ある、または家具下がそもそもない部屋。
- コストパフォーマンス重視の人: 発売から時間が経っており、実勢価格がこなれています。日本での希望小売価格は約30万円でしたが、キャンペーン等で安く手に入るチャンスがあります。「完成された王者」を安く買う賢い選択です。
- LiDAR信仰がある人: 長年の実績あるナビゲーションシステムに絶対の信頼を置く場合。
Saros 10R を選ぶべき人
- 「掃除できない隙間」にストレスを感じている人: これに尽きます。テレビボード、ソファ、ベッドの下。あの「暗黒のホコリ地帯」を綺麗にしたいなら、Saros 10R一択です。S8では物理的に不可能です。
- 最新スペック・最強吸引力が欲しい人: 20,000Paの吸引力、最新のAI障害物回避を楽しみたいガジェット好きの方。
- ペット・長髪の家族がいる人: 強化された「毛がらみ防止」機能は、日々のメンテナンスストレスを確実に減らしてくれます。
- 予算に余裕がある人: 最新モデルゆえに価格はプレミアム(定価269,800円)ですが、その価値に見合う「家事解決力」があります。
結論: 「薄さ」は機能ではない、自由だ
これまで、私たちはロボット掃除機のために部屋を片付け、ロボット掃除機のために家具を選んできました。「このソファ、かっこいいけどルンバが入らないから脚が高いやつにしよう」と、デザインを妥協した経験がある方もいるかもしれません。
Roborock Saros 10Rは、その制約を取り払いました。
7.98cmという薄さは、あなたが好きな家具を自由に選び、インテリアを楽しむ自由を取り戻してくれます。低い重心のイタリアンソファを置いても、こだわりのアンティークボードを置いても、Saros 10Rなら文句ひとつ言わずにその下に入り込み、埃ひとつ残さず掃除してくれます。
「機能(吸引力やナビ)」は各社競い合っていますが、「物理的なサイズ(薄さ)」による解決策は、他社が容易に追随できないハードウェアの革新です。
もし今、あなたの家のソファの下を覗き込んで、うっすら積もったホコリに溜息をついたなら。
解決策は、S8 MaxV Ultraではなく、Saros 10R です。
実行手順(今日からできるチェックリスト)
最後に、購入前に必ずやっていただきたいチェックリストです。
- [必須] メジャーを用意する: 100円ショップのもので構いません。
- 家具の高さを測る:
- ソファの下(特にたわみがある中央部分)
- テレビボードの下
- ベッドフレームの下
- 判定:
- 8.5cm 〜 10cm: おめでとうございます、Saros 10Rを買う理由が明確にあります。劇的に部屋が綺麗になります。
- 11cm以上: S8 MaxV Ultraでも入れます。価格差と相談して決めましょう。
- 8cm未満: 残念ながらSaros 10Rでも厳しいです。家具の脚にインシュレーター(かさ上げ)を噛ませるか検討しましょう。


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