泥だらけの体操着を洗濯機へ入れる前に、洗面台で何分こすっていますか。
シャープの新型ドラム式洗濯乾燥機ES-12X2は、細かな水滴と泡を衣類へ吹きつける「バブルジェット洗浄」を新たに搭載しました。先代ES-12X1より水滴数が約1.5倍に増え、泥や皮脂が気になる家庭には魅力的です。
ただし、水滴数が1.5倍になっても、洗浄力まで1.5倍になるわけではありません。執筆時点の販売ページでは新旧に約20万円の開きがあり、乾燥時の消費電力量や運転時間、容量は同じです。
先に結論をまとめると、今の価格差なら、大半の家庭には値下がりしたES-12X1がおすすめです。洗濯前のこすり洗いを頻繁に行い、新しい洗浄機構と複数のダウンロードコースを積極的に使う家庭は、価格差が縮まってからES-12X2を選ぶと納得しやすくなります。
本記事では、カタログ上の「約1.5倍」を実際の洗濯へ置き換え、予洗いが減りそうな汚れ、引き続き下処理したい汚れ、乾燥や電気代に差があるのかまで比べます。
※記事内のリンクには広告が含まれます。価格や在庫、設置費用は購入前に各販売ページでご確認ください。
約20万円高い新型で買うのは、主に洗浄機構の進化
新旧の選択で最初に知っておきたいのは、価格差の大部分を洗浄機構と操作性の進化にかける形になる点です。
執筆時点で確認できた販売価格は、ES-12X2が約41万5,800円、ES-12X1が約21万3,366円でした。差額は約20万2,000円です。ただし、ドアの開き方や本体色、標準設置の対象地域など販売条件が異なるため、最終的には同じ条件の総額で比べてください。
新型の主な変更点は次の3つです。
- バブルジェット洗浄を搭載し、1秒当たりの水滴数が100万個以上から150万個以上へ増加
- アプリから本体へ保存できるダウンロードコースが1つから4つへ増加
- 操作パネルを指紋や汚れが目立ちにくいマットガラスへ変更
対して、洗濯・乾燥容量、標準使用水量、消費電力量、運転時間、本体寸法は変わりません。乾燥方式の名称は変わりましたが、公式情報では新型も先代と同じ仕様・効果とされています。
発売直後の価格には「新製品代」も含まれます。泥汚れへの効果を期待しても、20万円差のまま急いで買う必要はありません。
予洗いの時間を測ると、価格差の重みが見えてくる
洗浄力の比較で見落としやすいのは、汚れ落ちの数値よりも、洗面台に立つ時間です。
たとえば、体操着や部活着の予洗いに3分かかり、週5回続けているとします。年間では約13時間、7年間なら約91時間です。現在の約20万2,000円差を91時間で割ると、予洗い1時間当たり約2,200円になります。
| 仮定した予洗い | 7年間の合計 | 約20万2,000円を時間で割った金額 |
|---|---|---|
| 3分×週5回 | 約91時間 | 約2,200円/時間 |
しかも、ES-12X2を選べば予洗いが完全になくなる、とメーカーが保証しているわけではありません。実際に予洗いが半分になった場合、削減できる時間は約45.5時間です。時間当たりの金額は約4,400円まで上がります。
購入前に1週間だけ、予洗いにかかった時間と回数をスマートフォンへ記録してみてください。毎週何度も泥を落としている家庭と、月に数回だけ襟袖へ洗剤を塗る家庭では、新機能へかけられる予算が変わります。
ES-12X2とES-12X1の違いを一覧で比較
| 比較項目 | ES-12X2 | ES-12X1 |
|---|---|---|
| 洗浄 | バブルジェット洗浄 | マイクロ高圧洗浄 |
| 1秒当たりの水滴数 | 150万個以上 | 100万個以上 |
| 泡が覆う面積(メーカー試験) | 90.2% | 74.6% |
| アプリのダウンロードコース保存数 | 4コース | 1コース |
| 操作パネル | 汚れが目立ちにくいマットガラス | 従来仕様 |
| 乾燥機能の名称 | ふわカラハイブリッド乾燥 | ハイブリッド乾燥NEXT |
| 洗濯・乾燥容量 | 12kg・6kg | 12kg・6kg |
| 標準使用水量 | 洗濯77L・洗濯乾燥49L | 洗濯77L・洗濯乾燥49L |
| 消費電力量 | 洗濯65Wh・洗濯乾燥590Wh | 洗濯65Wh・洗濯乾燥590Wh |
| 標準運転時間 | 洗濯35分・洗濯乾燥150分 | 洗濯35分・洗濯乾燥150分 |
| 運転音(洗い/脱水/乾燥) | 32/39/42dB | 32/39/42dB |
| 外形寸法 | 幅640×奥行719×高さ1,120mm | 幅640×奥行719×高さ1,120mm |
| 質量 | 約80kg | 約80kg |
数字だけを見ると変更点は少なく見えます。家事への影響が大きいのは、洗浄時に衣類へ触れる水滴の密度と、アプリでよく使うコースを本体へ複数置ける点です。
バブルジェット洗浄で、泥と皮脂の予洗いはどこまで減る?
水滴数1.5倍は「洗浄力1.5倍」ではない
ES-12X2は、100~500μmの細かな水滴と泡を衣類へ噴射します。ノズルにはペンギンの羽毛構造を応用し、1秒当たり150万個以上の水滴を発生させる設計です。ES-12X1の100万個以上と比べると、水滴数は約1.5倍になりました。
メーカー試験では、泡が覆う面積も74.6%から90.2%へ広がっています。洗剤液を衣類へ素早く行き渡らせ、汚れへ触れる機会を増やす改良と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、公式の洗浄比較は綿100%のパーカーと2kgの衣類を標準コースで洗った条件です。汚れの種類、付着してからの時間、衣類の量や素材、洗剤によって仕上がりは変わります。「1.5倍」の数字だけで、頑固な泥も下処理なしで落ちると判断するのは早計です。
砂や土は、乾いた状態で落としてから洗う
校庭の泥が付いた靴下やユニフォームは、水で濡らす前に乾いた砂や土を払い落とすのが基本です。泥の粒子を大量に付けたままドラムへ入れると、バブルジェット洗浄の良さを生かしにくいうえ、ほかの衣類へ汚れが移ることもあります。
薄い泥は、土を落として液体洗剤をなじませれば、ES-12X2でこする時間を短くできる可能性があります。繊維の奥へ入り込んだ泥、乾いて固まった汚れ、白いソックスの黒ずみは、つけ置きや部分洗いを残したほうが無難です。洗濯表示と洗剤の使用方法も確認してください。
襟袖や部活着の皮脂には、洗剤と放置時間も効く
皮脂汚れでは、泡を広く行き渡らせる新型の改良が役立ちます。汗をかいた当日に洗う体操着や、うっすら汚れた襟袖なら、洗剤を塗って何度もこする手間を減らせそうです。
黄ばみとして定着した皮脂、油を含む食べこぼし、血液などは別です。汚れに合う洗剤や水温が必要になり、衣類によっては温水や漂白剤を使えません。新しい洗浄機構は下処理を助ける機能であり、素材ごとの手入れを不要にする機能ではありません。
乾燥は名前が変わっても、時短と電気代は同じ
新型は「ふわカラハイブリッド乾燥」、先代は「ハイブリッド乾燥NEXT」と呼ばれます。名前だけを見ると乾燥性能も大きく進化したように感じますが、公式発表では先代を使った試験結果に「新型も同仕様・同効果」と明記されています。
どちらもヒートポンプとサポートヒーターを組み合わせ、温度・湿度・布質などをセンサーで見ながら乾かします。洗濯から乾燥までの標準時間は約150分、消費電力量は590Whで共通です。
電力料金を31円/kWhとして単純計算すると、洗濯乾燥1回の電気代は約18.3円です。水道代や待機電力を含まない目安ですが、新旧で数値が同じため、電気代の差で新型の価格差を取り戻すことはできません。
ヒートポンプ式とヒーター式の違いから知りたい方は、乾燥方式と電気代を比較した洗濯乾燥機の記事も参考になります。
アプリの4コース保存は、洗濯物を分ける家庭ほど便利
COCORO WASHからダウンロードしたコースを本体へ保存できる数は、ES-12X1の1つからES-12X2の4つへ増えました。
たとえば「タオル」「ベビー服」「カーテン」「ゆかた」を登録しておけば、使うたびにコースを入れ替える手間がありません。運動着と普段着を分ける、赤ちゃんの衣類だけ洗い方を変える、といった家庭では実感しやすい改良です。
標準コースと自動投入を中心に使う家庭なら、保存数が1つでも困りにくいでしょう。アプリ連携をほとんど使わないなら、4コース保存を理由に新型へ買い替える必要はありません。
マットガラスの操作パネルも、洗剤を触った指で操作する場面では助かります。ただし、拭き掃除そのものが不要になるわけではなく、使い勝手を整える小さな改善として捉えるのが妥当です。
変わらない機能が多いから、旧型でも家事は十分減らせる
ES-12X1を選んでも、シャープ上位機らしい省手間機能は利用できます。
- 洗剤・柔軟剤の自動投入
- 乾燥フィルター自動お掃除
- 乾燥ダクト自動お掃除
- 洗濯槽自動お掃除とドアパッキン自動洗浄
- COCORO WASHによるスマートフォン連携
- 7つのセンサーを使った運転制御
洗濯12kg、乾燥6kgの容量も同じです。家族4人分をまとめて洗い、タオルや普段着を乾燥まで任せたい用途では、先代でも基本性能は不足しません。
本体寸法も幅640×奥行719×高さ1,120mmで変わらないため、新型へ替えて設置しやすくなるわけではありません。防水パンの内寸だけでなく、蛇口の高さ、扉を開いたときの奥行、搬入経路、左右どちら開きが使いやすいかまで確認しましょう。
乾燥容量6kgまでは不要で、省スペースを優先したい場合は、縦型洗濯乾燥機ES-TX6Kのレビューも候補探しに役立ちます。
口コミは新型の評価ではなく、先代の実績を参考にする
ES-12X2は発売直後のため、使用期間の長い口コミはまだ十分にそろっていません。洗浄力や乾燥性能を口コミだけで断定する段階ではありません。
先代ES-12X1では、乾燥の速さや仕上がり、マットな外観、アプリ連携を評価する声が見られました。頻繁に乾燥しても電気代が抑えられたという投稿もあります。
気になる声としては、運転開始時の給水音、ドラム内照明がない点、ドアパッキンに付いた髪の毛を拭く手間などが挙がっています。衣類の偏りや洗い上がりに不満を示す投稿もありました。
ただし、確認できるレビューは少数です。洗濯物の量や入れ方、衣類の素材、洗剤によって結果が変わるため、個別の感想を製品全体の傾向とは断定できません。新型も寸法や乾燥仕様が共通なので、設置感や基本的な使い方を想像する材料として読むのがおすすめです。
ES-12X2がおすすめなのは、予洗いの頻度が高い家庭
ES-12X2がおすすめなのは、次のような家庭です。
- 体操着、部活着、作業着をほぼ毎日洗う
- 薄い泥や皮脂汚れのこすり洗いを減らしたい
- タオルやベビー服など、複数の専用コースを使い分ける
- 指紋の目立ちにくい操作パネルを好む
- 発売直後の価格より、新しい洗浄機構を優先したい
とくに、洗面台での下洗いが毎週積み重なっている家庭には、新しいバブルジェット洗浄が魅力です。ただし、現在の約20万円差では負担が大きいため、同じ設置条件で5万円前後まで縮まるかを一つの目安にするとよいでしょう。
ES-12X1がおすすめなのは、乾燥とコスパを優先する家庭
ES-12X1がおすすめなのは、次のような家庭です。
- 洗濯から乾燥までの時短を最優先したい
- 泥汚れは少なく、標準コースを中心に使う
- アプリへ保存する専用コースは1つで足りる
- 同じ12kg洗濯・6kg乾燥を安く導入したい
- 浮いた予算を設置費や延長保証へ回したい
乾燥時間、消費電力量、容量、自動お掃除機能が新型と同等なので、型落ちの弱点は洗浄機構とアプリ保存数に絞られます。20万円あれば、洗濯機置き場の工事、延長保証、数年分の洗剤代まで含めて考えられます。今買うなら、ES-12X1のほうが家計への負担を抑えやすいでしょう。
よくある質問
ES-12X2なら泥汚れの予洗いは不要ですか?
不要とは言い切れません。ES-12X2は細かな水滴と泡を広く行き渡らせますが、乾いて固まった泥や繊維へ入り込んだ土は残る場合があります。乾いた泥を払い、落ちにくい部分へ洗剤をなじませてから洗うと失敗を減らせます。
水滴数が約1.5倍なら、洗浄力も約1.5倍ですか?
洗浄力が1.5倍になるわけではありません。約1.5倍は1秒当たりの水滴数を比べた数字です。メーカー試験では泡が覆う面積の拡大も確認されていますが、実際の汚れ落ちは衣類、汚れ、洗剤、投入量によって変わります。
ES-12X2とES-12X1で電気代は変わりますか?
カタログ上の消費電力量は共通です。洗濯時は65Wh、洗濯乾燥時は590Whなので、電気代を31円/kWhとすると洗濯乾燥1回の電気代は約18.3円です。新型を選んでも、電気代が安くなって価格差を回収できる仕様ではありません。
乾燥性能は新型のほうが上ですか?
名称は変わりましたが、公式発表では新型も先代と同じ仕様・効果とされています。標準の洗濯乾燥時間は約150分、消費電力量は590Whで同じです。乾燥性能を主な理由に新型を選ぶ必要はありません。
購入価格以外に確認する費用はありますか?
標準設置の範囲、搬入費、階段料金、古い洗濯機のリサイクル料金、延長保証を確認してください。左右のドア開きや本体色によって価格が変わる場合もあります。新旧は同じ条件の支払総額で比べましょう。
まとめ:今はES-12X1、価格差が縮まればES-12X2を再検討
ES-12X2とES-12X1の違いは、バブルジェット洗浄、アプリへ保存できるコース数、操作パネルです。水滴数は約1.5倍になりましたが、洗浄力1.5倍や予洗い不要を約束する数字ではありません。
乾燥容量、運転時間、消費電力量、本体寸法は同じです。執筆時点の約20万円差を考えると、標準コースと乾燥を中心に使うならES-12X1がおすすめです。
毎週のように体操着や部活着を下洗いし、複数の専用コースも使う家庭は、ES-12X2の値下がりを待つ価値があります。まず1週間、予洗いに使った時間を測り、新機能で取り戻したい時間と販売価格差を比べてみてください。



